第53章 Lovely-二度目の恋は盲目で-
十番隊舎に到着すると行き交う人々が梨央を凝視する。
「(なんかスゴい見られてる…。)」
居心地の悪さを感じながら執務室のドアを叩いた。
ガチャ…
「!」
「いらっしゃい」
出迎えてくれたのは乱菊だった。
「待ってたのよ」
「(待ってた…?)」
「隊長ー、梨央が来ましたよー」
乱菊はドアノブに手を掛けながら首だけを後ろに向ける。
「さ、入って入って☆」
「あ、あの…」
乱菊に手を引っ張られて執務室の中に入る。
視界に映ったのは…
「(綺麗な瞳の色…)」
青緑色の瞳を持つ日番谷だった。
「俺の顔に何かついてるか?」
「あ、す、すみません!」
ガバッと頭を下げる。
「綺麗な瞳をさなっているのでつい見惚れて…」
「!」
「ふ、不快にさせてしまったのなら謝ります」
「いや…謝らないでくれ」
梨央は恐る恐る顔を上げる。
「ありがとな」
「何故…お礼を?」
「目の色を褒めてくれる奴はお前で二人目だ」
切なそうな表情を浮かべた日番谷は片手で目に触れる。
「お前の瞳の色も綺麗だな」
「!」
こちらに視線を向けた日番谷に思わずドキッとした。
「海を閉じ込めた色だ」
優しく笑った日番谷の顔に胸が高鳴るのを感じた。
それを悟られないように胸に手を当てて笑う。
「初めて言われました。ありがとうございます」
そんな表情を見て乱菊も微笑む。
「彼女、五番隊に配属が決まったんですってね」
「はい」
「あんたは?どこの隊に決めたの?」
「京楽総隊長の薦めでこちらでお世話になります」
「え?」
乱菊は驚いた表情を浮かべた。
彼女だけじゃない。
片肘を付けた日番谷も梨央の言葉に驚いている。
「十番隊を志願したの…?」
「?そんなに意外でしょうか?」
「そうじゃないのよ。
ただ…どうしてかなーて…」
「理由は…特にありませんが断る理由もなかったです」
「じゃああんたは十番隊に決めるのね?」
「はい」
「そう」
「足を引っ張らないように頑張ります」
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