第53章 Lovely-二度目の恋は盲目で-
二番隊は
隠密活動に秀れた隊士が多い実戦派部隊だ
「(隠密機動…)」
本来 隠密機動と護廷十三隊は
別の成り立ちを持つ組織であるが
前任の二番隊隊長であった四楓院夜一が
隠密機動総司令官を兼任していた為に
『隠密機動』=二番隊直属の組織という
色合いが濃く、二番隊席官が
隠密機動の要職に就いていた
「(そういや四楓院先生も死神だったんだよね…。しかも遥か昔に二番隊で隊長をしていたって言ってたっけ。)」
夜一失踪後、砕蜂が二番隊隊長・総司令官ともに引き継いだ為
今も隠密機動=二番隊といった色合いが強いが
必ずしも同一の組織ではない
「確か二番隊長さんは四楓院先生のお知り合いのはず…」
また、隠密機動は
本来死神として超越した力を持つ
四大貴族『四楓院家』の当主が
代々総司令官を務めていたが
二十二代当主であった夜一が
失踪した為、四楓院家の人間でない砕蜂が
軍団長に着任したと思われる
「(あれでも…砕蜂隊長の名前、どっかで聞き覚えが…)」
色々考えてる間に二番隊舎に到着していた。
「隊長殿と副隊長殿のプロフィールは頭に叩き込んだ。きっと粗相はない…はず」
自信がないのか、最後の方は声が小さくなる。
「ええい、当たって砕けろ」
意味不明な言葉を残してドアを控えめにノックした。
コンコンッ
「失礼します」
中に踏み入ると一人の少女が出迎える。
「!」
腕を組み、仁王立ちして待ち構えていた砕蜂を見て梨央はビクッと肩を揺らし、緊張の糸を張る。
「(彼女が…砕蜂隊長…)」
冷徹な雰囲気を纏わせた砕蜂はジッと梨央を凝視めて…いや、睨んでいるように凝視めていた。
「(ああそうだ…書類に載ってた)」
事前に渡されていた隊長と副隊長の経歴が載った書類に書かれた内容を思い出す。
隊長・隠密機動総司令官・隠密機動第一分隊『刑軍』総括軍団長
代々処刑・暗殺を生業とし続けてきた下級貴族『蜂家』の九代目
隠密機動入団時に蜂 梢綾の幼名を捨て
會祖母の号『砕蜂』を受け継ぐ
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