第53章 Lovely-二度目の恋は盲目で-
「ほらそこォ!!そんな弱腰じゃ倒せんだろうが!!
しっかりと刀を構えて虚を狙わんかーッ!!」
実習を行う為、森に集まっていた特進学級の生徒達は学院側が用意した装置で実体を可能とした虚を相手に戦うも、その迫力に体が恐縮し、ほとんどの生徒が逃げ腰になっていた。
「如月先生、随分と気合い入ってるね」
「ちょっと暑苦しいわ」
二人は遠巻きにそれを見ている。
ザシュッ
「やったわ!三体目!」
未亜が浅打で虚を討伐した。
「すごいね」
「貴女だってすごいじゃない」
「別にスゴくないよ」
「だってもう八体目を討伐してる」
「ああうん…なんか適当にやったら倒せた」
「適当って…もう、羨ましいわ」
少女の浅打は虚を斬った血で汚れている。
「(血まで本物みたい…)」
顔を歪めて血の付いた刀を振るった。
「よし!!次は二人ペアを作って森中に放たれた虚を倒すように!!もちろん実体化の虚だが本番と同じように緊張感を忘れずに討伐してくれ!!」
天弦は装置を操作し、範囲を広げる。
その範囲内で虚は自由に行動する。
少女は未亜とペアを組み、虚を探しに森の中を探索する。
「成果を上げましょう!」
「そうだね」
「貴女と一緒なら怖くないわ」
「買い被り過ぎだよ」
「だって貴女は救える命は見捨てないもの」
「!」
ドクンッ
「(あれ…?)」
未亜の言葉に胸がざわついた。
「(どうして些細な言葉が引っかかるの…)」
怖くなって胸の辺りをギュッと掴む。
「さあ!一体目よ!」
「!」
視線の先に一体の虚が見えた。
「(今は集中しよう…!)」
どうやら虚は二人に気付いていない様子だ。
「どうする?」
「挟み撃ちにしよう」
「了解」
二人は刀を引き抜いて左右から虚を挟み撃ちにした。
ザシュッ
斬られた虚は消滅した。
「簡単だったわね」
「もう一体討伐して戻ろうか」
「そうしましょ」
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