第52章 Reunion-×××を望んだ少女は-
「随分と賑やかですね」
「え?」
「もしかして“朽木様”のご関係者様ですか?」
「あ、はい…。
知り合いが結婚することになりまして…」
「それはおめでとうございます」
「(雰囲気はだいぶ違うけど…やっぱり似てるなぁ。)」
「あなたは護廷十三隊の方なんですよね?」
「はい」
「では吉良副隊長によろしくお伝え下さい」
「え?」
「素晴らしい講演をして下さったので」
少女は笑みを浮かべる。
「では」
軽く会釈をして花太郎の横を通り過ぎる。
「あ、あの…っ!」
花太郎は思わず少女を呼び止めた。
「はい?」
立ち止まって振り向いた少女は不思議そうに花太郎を見る。
「あ……」
呼び止めたのはいいが、肝心の内容が思いつかない。
散々迷った結果。
「き、気をつけて…」
咄嗟に出た言葉はそれだった。
「ありがとうございます」
花太郎の言葉に笑みを浮かべる少女は再び軽い会釈をして、歩いて行った。
「……………」
花太郎は茫然と少女の背中姿を目で追っていた。
廊下を歩きながら少女は羨望の眼差しで軽く笑む。
「そっか…結婚するんだ」
貴族の結婚。
それは盛大に執り行われるだろう。況してやあの四大貴族の一人だ。きっと大勢の人達から祝福される。
「いいなぁ…幸せそうで…」
少女はどこか悲しそうに呟く。
◇◆◇
「遅かったな山田、道にでも迷ったか?」
「い、いえ…道は完璧だったんですけど…」
トイレから戻って来た花太郎の様子がおかしいことに全員が気付く。
「顔真っ青だけど大丈夫?」
「何かあったのか?」
言おうかどうか迷っていると吉良と目が合う。
「あの…吉良副隊長…」
「何だい?」
「幽霊って…信じますか?」
「………………」
それは先ほど吉良が日番谷にした質問と全く同じだった。
「アンタまで何言ってんのよ」
「幽霊なんているわけねえだろ」
乱菊と一角が否定するが…
「女の子…」
「女の幽霊か」
「い、いえ…さっき女の子とぶつかってしまって…」
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