第52章 Reunion-×××を望んだ少女は-
一方その頃、ルキアと恋次に招待されて『花くれなゐ』に集まった死神達が広い座敷の中央に置かれた豪奢なの座卓を囲んでいた。
恋次は緊張した面持ちで一同を見回した。
「ほ、本日は貴重なお時間を割いて頂き、誠に有難う御座います!」
彼の横に立っているルキアの頬も、緊張からかほんのりと上気している。
そして恋次が、すぅ、と息を吸い込む。
「実はその、俺たち…」
二人の鼓動が聞こえてきそうな緊張感に、皆、無意識に息を止めた。
「俺たち、結婚します!!」
恋次が宣言し、二人はそろって深々と礼をした。
一瞬の、沈黙。
二人が顔を上げると、乱菊がにこりと笑んで拍手をした。
「おめでとー!」
「よかったな、阿散井!」
「おめでとうございまーす」
一角と弓親もそれに合わせてぱちぱちと手を叩く。
「えっとその…ありがとうございます、うれしいッス!うれしいんスけど…みんな驚いてないんスか…?」
「さぷらいず、というものを仕掛けたつもりだったのですが…」
喜びと疑問の入り混じった複雑な表情を浮かべる二人を見て、乱菊が苦笑する。
「そりゃまぁ、ねえ?」
「大事な話がある、っていうのに送信先にルキアちゃんが入ってない時点で、それ以外考えられないと思うけど?」
弓親の言葉に雛森も笑顔でうんうんと頷いている。
「改めて、おめでと!朽木、恋次!」
乱菊が言う。
「お幸せにね、お二人さん!」
清音が手を叩いたのを切っ掛けに、再び二人へ拍手が送られた。
ルキアは照れくさそうに微笑み、恋次はニッと歯を見せて笑う。
────日番谷は思う。
復旧への道のりは未だ遠く、手付かずの瓦礫が広がっている場所も多い。そんな中、新たな関係を築いていく二人の姿は、皆の希望になるだろう、と。
「なんですかぁ?ニヤニヤしちゃって〜」
乱菊は小さく笑い、日番谷の肩を指先でツンと突っつく。
“なんでもねぇ”と応えた声にいつものような怒気はなく、穏やかだった。
「(…幸せそうだ)」
笑い合う二人を見て思わず頬が緩む。
だが、同時に悲しい気持ちが心を満たす。
「隊長?」
日番谷の様子に気付いた乱菊は不思議そうに覗き込む。
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