第52章 Reunion-×××を望んだ少女は-
「彼女はユーハバッハに一度殺され、微睡の中で『悪』と出会った。そして“母親を殺されたことへの復讐”と“兄を守るため”に仮初の魂と身体で再び生き返ったと言っていました」
「そうじゃな。そして…ユーハバッハへの復讐を果たし、望みを叶えたことで、この世に存在することが許されなくなった梨央は誰にも何も告げずに世界から消えてしまった」
「これは…どういうことでしょうか」
「さあのぅ。ただ…世界には自分と同じ姿をした奴が三人おると言うしな。霊術院の生徒である仁科と儂らの知っている梨央は、もしかしたら顔だけが似ているというだけで中身は全く違う別人の可能性もあるかも知れん」
「…あれから三年ですよ…?もし彼女が生きてたとしたら…何故霊術院なんかに通っているんですか。あんな…消える前と同じ姿で…」
「儂も初めて彼奴を見た時、心臓が止まるかと思った。彼奴はまるで…梨央の生き写しじゃ。髪の色、瞳の色は全て同じ。ただ違うのは…今会った梨央は儂らの事を全く覚えておらんという事だけじゃ」
「…本人…なんでしょうか…」
「それは誰も分からん」
「……………」
吉良は頭の整理がつかなかった。
「時に吉良」
夜一が吉良の方へ顔を向ける。
「…二人きりじゃな」
その目に悪戯な笑みを見て取り、吉良は寒気立った。
「(蛇に睨まれたカエル…いや、この場合は猫に睨まれたねずみか…?)」
などと考えていると、夜一がずいっと身を寄せてきた。
「ひっ……!」
寄られた分後ずさると背中がソファーの肘置きに当たり、行き止まる。
「聞くところによると、おぬし、体に大穴が空いておるそうじゃの?」
「…な、なんですかいきなり…」
「涅が言っておったぞ?眠は義魂技術の、吉良は肉体改造技術の傑作じゃとな。…どれ、その穴ちょっと見せてみい」
「な……っ!?嫌ですよ!」
「固いことを言うな、断面がどうなっておるのか見たいだけじゃ。減るもんでもなかろう?ほれほれ」
「やめてください!」
夜一に引っ張られ、死覇装が乱れる吉良。
この後、女子学生二人を従えて戻ってきた石和に目撃され、吉良は誤解を解くのに必死だったとか…。
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