第51章 Historia-そして物語は完結する。-
「何が可笑しい」
「いや…未来が視えるというのも案外アテにならないと思っただけだ」
「…何?」
「お前は本当に未来が視えているのか?」
「未来が視えているから黒崎一護を殺せた。故に貴様の“未来”も視えている。悠然と笑っていられるのも今のうちだ、次は貴様を殺す」
ユーハバッハは梨央に向き直る。
「…そうか。黒崎一護に視えているのか」
一護を殺したと思っていた筈のユーハバッハの視界を映したのは…胸に孔を空けられ、苦痛の表情を浮かべた藍染だった。
ドッ
その直後、一本の刀が背中を刺し、胸にまで貫通していた。背後を振り向くと一護がいる。
「月牙天衝!!!!」
無数の目に覆われたユーハバッハは一護に斬られたことで地面に倒れた。
「──まずまずだ。よく私の鏡花水月に瞬時に対応できたな」
「…尸魂界に来る途中から違和感を感じてた。あんたがみんなを鏡花水月にかけた時の感覚だ」
「…そうだ。私は君達が“ここ”へ着く前に鏡花水月を解放し──そして奴の『全知全能』の未来視に鏡花水月で干渉できる事を確信した。あとは鏡花水月の通用しない君だ。君に鏡花水月の解放を見せぬままでいた事がこんな形で役に立つとはな」
藍染は一護から梨央に視線を移す。
「何故“終解”を使わなかった?」
「!」
「零番隊のみが使える最終解放。それを使えば確実にユーハバッハの息の根を止める事ができた筈だ」
「馬鹿言うな。卍解でさえ危険なのにこの場で終解なんて使ってみろ。私以外全員死亡ルート決定だぞ。キミとユーハバッハなら迷わず使っていたが、友達まで巻き込めるか」
「相変わらず甘いな君は。だが…その判断が正しいとは限らない」
梨央は藍染を睨む。
「──…黒崎一護」
名前を呼ぼうと藍染は一護を見る。
ドッ
「!藍染!!」
「…本当にしぶといな」
思いきり舌打ちをした。
「…鏡花水月が解けたな。慢心か限界か…。…なあ一護、あんなもので私に死を与えられたと思ったか?私の力は未来を改変する。私が死した未来さえ書き変えてやろう!!!」
無数の目に全身覆われたユーハバッハが復活する。
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