第51章 Historia-そして物語は完結する。-
卍解するも腕ごと斬られてしまう。
「まだ理解できんか。卍解など役には立たん。全ての卍解は未来に於いて既に砕かれている。私に立ち向かうお前達はお前達自身が理解できぬよう私のこの手で砕くがな!」
恋次に攻撃しようと構えるが、目の前に愛染が現れ、その黒影を斬る。
「藍染!お前が阿散井恋次を庇うか!面白い!共通の敵を前に団結するのはお前の忌み嫌う敗者の習性だろう!」
「破道の九十九『五龍転滅』」
大地が激しく揺れ、龍の形をしたエネルギー体が出現する。
地面が捲れ上がり、ユーハバッハに向かって藍染は走り出す。
「そして気付いているか藍染惣右介。
お前の鏡花水月も“既に折れているぞ”!」
藍染の鏡花水月でさえ、ユーハバッハの能力を以てすれば容易く折れてしまえる。
そして手に宿した黒い影が藍染の体に直撃し、吹き飛ぶ。
「縛道の九十二『忌々縛束』」
腕を突き出し、掌を交差させて詠唱破棄を唱える。八つの赤い光がユーハバッハを突き刺し、拘束する。『忌々縛束』とは言うなれば、六杖光牢の究極版のようなものだ。
「二度目だぞ仁科梨央!貴様の技は最早私には通じん!この無効化の力がある限り、私は貴様の全ての技を無効化する!」
本来なら動きを封じ込め、霊圧を極限まで吸収し、抵抗すればするほど体中に痛みが伴う縛道の筈だが、ユーハバッハはその拘束さえ破ってしまう。
「──無駄だ。それも視えているぞ一護」
腕を斬られるも、一護は刀を振り下ろす。
「──残念だったな。戦況を見て瞬時に藍染惣右介との共闘に転じた事は上出来だ。だが鏡花水月も我が力には及ばぬ」
ユーハバッハに受け止められた斬月にヒビが入る。
「初撃で我が力に吹き飛ばされたのが阿散井恋次、次に私に腕を捥がれたのが貴様だ一護。全て視えている」
バラッと刀が砕けた。
「終わりだ一護」
ユーハバッハは一護の胸に孔を空ける。
ゴボッと吐血する一護。
「…さらばだ一護、お前の抵抗は心地良かった。せめて尸魂界と共に滅べ」
全知全能の力で尸魂界が黒い影の無数の目に覆われる。
「クスッ」
誰かの笑った声がした。
ユーハバッハは首だけを動かし、笑った本人を見る。
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