第51章 Historia-そして物語は完結する。-
「チッ」
やはり奴から
母様の力を奪い返すしかないか
「…藍染、キミはいつまで傍観者でいるつもりだ」
余裕淡々な笑みで傍観している藍染をギロリと睨みつける。
「総隊長が何の為に解放したと思ってる。ちゃんと役に立て。まぁ…封印された両手の拘束で何かが出来るとは思えないが」
「やってみせようか」
挑発とも取れる言葉に梨央は眉を顰める。“この男は相も変わらず忌々しい”と…。その直後、大きな黒いモノが津波のように高く上がる。
ドパァンッ
地面に落下した衝撃で藍染の座っていた椅子が破壊された。
「──意外だな」
両手の拘束が解かれ、藍染は地に降り立つ。
「てっきり霊王宮(うえ)で勝負をつけているものだと思っていたが──どうやら予想以上に黒崎一護に手こずったと見える」
「自分の苦悩を私に投影するのは止せ。
黒崎一護に敗北したのはお前だ」
「──いずれにせよ、あの忌まわしい椅子を壊してくれた事には礼を言おう──お陰でこうして貴方を阻止できる」
「私と戦うか、尸魂界の為に?
それでお前に利があるとは思えんな」
「利ではないよ。私は常に私を支配しようとするものを打ち砕くにのみ働く」
その時、ユーハバッハの背後から二つの人影が飛んで現れた。一護と恋次は同時に振り上げた刀をユーハバッハに向けて振り下ろす。
「──一護、恋次、随分と早い到着だ」
だが、ユーハバッハには見えていたのか、二人の攻撃を簡単に躱した。
「視えていたぞ。お前達が来る事も、その剣が元に戻っている事も。そして、それが再び折れている事も」
月島の能力で元に戻った剣が再び折れた。
「!!!」
「…綺麗に折ったつもりだったのだがな───何とも忌々しい幸運だ、一護」
黒い影が周りの物を破壊し、まるで地割れのような激しい衝撃と共に一護達に襲いかかる。
「瀕死だな一護、見るに耐えん。何故、井上織姫に傷を治させてから来なかった?奴自身も瀕死だったからか?お前が来たところで変えられるものなど何一つ無いと言うのに」
隙を狙って恋次は刀を伸ばす。
「お前もだ阿散井恋次!」
「卍解『双王蛇尾丸』!!」
バキンッ
「ぐ……クソ……ッ」
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