第51章 Historia-そして物語は完結する。-
「(またか…。あの少女から滲み出ている空気のせいで、無意識に身体が恐怖を感じ取っている。)」
身体が震え、手も冷たくなっていた。
「(あれも斬魄刀の一部か。)」
「天照、仕留めろ」
告げた途端、黒い影から光線が発射された。ユーハバッハも黒い影のようなものを出して対抗しようとする。
「言い忘れてたが…何をしても無駄だぞ」
「?」
「私の力を忘れてはいないだろうな?」
「何だと?」
ニヤリと笑い、告げる。
「私にも母様の力があるんだよ」
「(“技の無効化”──!!)」
黒い影は消え、ユーハバッハは成す術を絶たれる。
「クッ……!」
身の危険を感じ、その攻撃を横に飛んで回避する。
「安心するのはまだ早い」
行き場を無くした光線はドロッと液体化し、地面に落ちると移動し、ユーハバッハの影の中に“潜った”。それを見た梨央はふと笑う。
「“一ツ目には気を付けろよ”」
ユーハバッハは気配を感じて背後を振り向く。すると自分の影の中から現れたのは卍解状態の天照だった。
「!!」
少しサイズは小さいが、不気味に笑った天照はガパッと口を大きく開け、鋭い歯でユーハバッハに襲いかかる。
咄嗟に腕で防いで身を守るが天照は腕に噛み付く。だがやはり痛みは感じない。
もう片方の手で腕に噛み付いて離れない天照を切り捨てた。
「!?」
ユーハバッハは目を見開く。
「(今確かに斬った筈だ。感覚もこの手に残っている。なのに何故まだ噛み付いている?“斬られてなかった”…のか?)」
「その子は斬れないよ」
「…どういうことだ」
「天照であって天照じゃないからだ」
訳が分からないと云った表情を見せるユーハバッハに梨央は口角を上げて笑う。
「お前には未来が視えているんだろう?未来を改ざんすることができるんだろう?なら、その状況から脱してみせろ」
“できるものならな”
挑発的な笑みを浮かべる。
「貴様こそ忘れているのではないか?」
「?」
「私にも貴様の母の力があるということを!」
「!」
力を使うと腕に噛み付いている小さな天照が灰となって消滅した。
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