第51章 Historia-そして物語は完結する。-
「──意外だな。まさか貴方と再び尸魂界で会う事になるとは」
そこにいたのは…
「ようこそ 私の尸魂界へ」
椅子に拘束された藍染だった。
「そして…」
ユーハバッハの後ろに目を遣る。
「久しいな、仁科梨央」
「藍染…」
梨央は顔をしかめた。
「総隊長か」
この男の拘束を解いたのは
「相変わらず君は予想通りの反応をしてくれる」
「……………」
「二年会わない間に随分と変わったようだ」
「何…?」
「“やっと本当の君に会えた気がする”」
「!」
昔からそうだ
こいつの眼は
全てを見透かしているみたいで
不気味ささえ感じる
「何故総隊長がキミを解放したのか理解できないな」
「私の力が必要なんだそうだ」
「罪人の力がを借りる?
ハッ、巫山戯てる」
「巫山戯てなどいない。それに…罪人なのは君も同じだろう」
梨央はわざとらしく舌打ちをする。
悪を倒すのに
悪を利用することを
総隊長は悪だと思っていないんだろうな
「だがまずは…」
藍染を放っておいて、鋭い眼光でユーハバッハを睨む。
「お前を殺すのが先だ」
刀を引き抜く。
「闇色に染まれ『天照』」
刀の色が闇色に染まる。
「貴様の力など把握済みだ。
まさかまだ私を殺せると──……」
「思ってるよ!!」
「!」
今までとは比べ物にならない程の速度で消え、ユーハバッハの前に現れた梨央は刀を振り下ろす。
「(速度が上がった!?)」
驚くユーハバッハは梨央の剣を防ぐも、強い力に押され、勢いよく吹き飛ぶ。
凄まじい音と共に地面が砕け、烈風に混ざって砕けた破片が飛来する。
白煙が周囲を覆い、ユーハバッハの姿を隠す。
「見失った」
刀を軽く振れば、視界が開ける。だが白煙が消えた瞬間、目の前から黒い影が襲いかかる。
それを刀で弾き、駆け抜ける。
「今の一振りでこの有様か」
魂が一つになり、本来の力を取り戻したことで加減が分からず、困ってしまう。
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