第50章 Fellow-贈る言葉-
「反目し合って均衡を保ってた2人は斬月としてこの2本の刀に打ち直された。均衡を保っておとなしくなってるなら均衡を破れば出てくる筈だ。実際、今までも死神の力や虚の力を大量に喰らった時にこいつは出てきた」
「(………!)」
「ホントは俺の力と溶け合ってんだから俺が自由に出し入れできりゃよかったんだけどな。まだ全然使いこなせちゃいねえからあんたの力を使わせてもらった」
ユーハバッハの口許が笑っている。
ザリ…
「!」
一護は織姫が気付かない内に六花の前に移動していた。
「井上、少し広くする。六花で俺の霊圧を防いだまま退がってくれ」
「はい!」
一護が霊圧を上げれば壁が吹き飛んだ。
「…素晴らしい力だ。良かろう、私も剣を抜いて相手をしてやろう」
一護はユーハバッハが引き抜いた剣を素手で掴み、刀を振り下ろす。
その衝撃でまた、壁が破壊される。
激しい戦いが長時間に渡って繰り広げられた。
それでもユーハバッハには勝てない。
「絶望するな、絶望した子を殺す事ほど親にとって辛い事は無いのだから」
「───"絶望"が何だって?」
そうだ
奴は知らない
彼がどれほどの"絶望"を
潜り抜けてきたのかを
「よく知ってるぜ。今まで何度も乗り越えてきたんだからな!───卍解『天鎖斬月』!!!!」
卍解をした一護。
だがその刃は、折れている。
「(天鎖斬月が折れてる───…!?)」
驚く一護の視線が捉えたのは…
折れた刃の部分を手にしているユーハバッハ。
「(何だ、何が起きてる!?折られたのか?いや、あいつの霊圧は感じなかった。あいつはあそこから動いていない筈だ!!)」
「そう怖い顔をするな一護。敬意を表したのだ、お前の力に。新たな『天鎖斬月』"恐るべき卍解"だ。そう判断したから───"未来で折っておいたのだ"」
この状況に梨央も驚きを隠せないでいる。
「何を言っているか解らぬか。だが理解に時間を割く暇など無いぞ一護。"油断はせぬ"と言ったろう」
まずい!!
「一旦引け!!」
「!!」
「距離を置いて体勢を立て直せ!」
「遅い」
「っ、織姫ちゃん!!」
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