第50章 Fellow-贈る言葉-
「うん…なんていうか…石田くんがほんとうに滅却師のほうに行っちゃったなんて思ってたわけじゃないんだけど…でもちゃんと石田くんの口からそれが聞けて安心したっていうか…ああ、石田くんはやっぱり石田くんだったんだなあって…思って…」
その時、全員の後ろに砂で出来た巨人が現れる。大きな棒状の武器を振り下ろした。
ガン!
寸前で回避する。
「何だこりゃ…!?」
一護と織姫の頭上にも振り下ろされる。
ゴッ
それを茶渡が防ぐ。
「チャド!!」
「茶渡くん!!」
「俺は大丈夫だ!行け!」
茶渡は親指を立てる。
「行こう」
「ああ」
梨央は二人の背中を押す。
「振り向くなよ」
「「!」」
「振り向かず前だけを見て進め。彼はきっと…帰る道を用意してくれているから」
そう言って微笑を浮かべた。
そして三人は大きな扉の前に辿り着く。
「ついにここまで来たか…」
「(ここまで長かった…)」
梨央は一護を見る。
「あの男を倒すのはキミだ。キミじゃなければ成立しない。だから私は必要以上にキミに加勢することができない。でも安心して。最後はきっと…世界はキミに味方する」
二人を見て小さく笑う。
そして三人は扉を見上げる。
「…3対1で卑怯かも知れねえけど防御は任せた。頼むぞ井上」
「──はい!」
織姫は驚いた後、嬉しそうに笑って返事をした。
その姿を見て梨央はニコリと微笑む。
「さあ行こう」
一護は扉に手を当て押す。
玉座に座る男は笑っていた。
「──よく来た待ち侘びたぞ、我が闇の子よ」
梨央はグッと顔をしかめてユーハバッハを見る。
「抜かぬのか。随分と無防備な事だ─────と言いたい所だが、どうやら無防備な訳ではないな。漲る霊圧が形となって見える様だ。強くなったな…───いや、それこそが本来のお前の力だ」
梨央は刀に手を掛けようとして止める。
これは
彼の役目だ
下手に動くな
「さあ来い。右から来るか、左から来るか、楽しみに待とう」
「何言ってんだよ、視えるんだろ。
俺がどう斬るかかるかなんて」
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