第50章 Fellow-贈る言葉-
「!!」
「────終わらせるぞ石田雨竜。
陛下が御目覚めになる前に」
「…やるしかなさそうだな石田」
「黒崎…」
そこで雨竜は何かに気付いた。
待て
"陛下が御目覚めになる前に"
そうか─────……!
「…黒崎、奴の眼がユーハバッハと同じものになっている事には気付いているな?」
「あァ…それが何だよ?」
「奴の力はユーハバッハが眠っている間だけユーハバッハの力と入れ替わる」
「!」
「そうだ、今ならユーハバッハに"全知全能"の力は無い!真世界城の最上部にユーハバッハは居る。上へ向かえ黒崎!」
「石田…お前はやっぱりここに残んのかよ…?」
「ゴチャゴチャ喋るな!さっさと行け!」
そして雨竜は最後にこう伝える。
「最期の言葉じゃあるまいし」
それを聞いて一護は笑う。
「また後でね、雨竜くん」
梨央は片手を短く上げて雨竜に笑いかける。
「気をつけて」
雨竜も笑い返す。
一護達はユーハバッハの下へと急ぐ。
「…追う素振りも無いんだな。
いいのか、追わなくて」
「何度も言わせるな。私には全て視えている。
奴等は死ぬ、追う必要は無い」
「────そうか。だが…未来というのは変えられるものだろう?」
「驚いたな石田雨竜。先程迄とは別人の様だ。今のお前は随分と希望に満ちた顔をしているぞ」
「…成程、事実希望に満ちているかどうかはさて置くとして、それを見て驚いたという事はその希望に満ちた僕は"視えていなかった"わけだ」
ハッシュヴァルトは鋭い視線で雨竜を見る。
「君にとってはその力、全知全能には程遠いらしい」
そしてお互いに武器を構えた。
◇◆◇
一護達は長い階段を走り登る。
織姫は涙ぐんでいた。
「大丈夫か井上」
「あ…!うん!大丈夫!」
「無理しないでね」
「なんかね…これはちょっと安心しちゃって…」
「安心?」
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