第50章 Fellow-贈る言葉-
「三天結盾が間に合ってよかったねぇ」
「黒崎くんも大丈…」
「…聞かせて貰うぜ石田…。お前が滅却師側についた理由と俺らと戦おうとする理由をよ!」
「…それを訊いてどうするんだ」
「聞いた理由に納得できりゃ勝負でも何でもやってブン殴って目え覚まさせてやるよ!」
「納得いかなかったら?」
「ブン殴るに決まってんだろ!」
「結局殴るんじゃないか。何なんだ君は」
すると雨竜は何かを一護達の方に投げた。
「『太陽の鍵』だ」
そこに一つの円盤がある。
「星十字騎士団全員に配られるもので真世界城各所に設置された『太陽の門』と呼ばれる金属板にかざすことで『太陽の門』同士の間を移動できる。ここから左に進むと下へ下る階段がある。そこを五層分下った所に現世侵攻用に用意された太陽の門がある。それを使って君達は現世に戻れ」
「キミはどうするの?」
「僕はここに残ってこの真世界城を落とす」
「!」
「真世界城各所に仕掛けたチップを起動すれば霊子で組まれたこの真世界城は必ず崩壊させられる」
「何言ってんだ石田…!
ふざけんじゃねえぞ…!」
「そう言うだろうと思ったから君達に伝えずに来たんだ」
「そんなことしなくても…ユーハバッハの奴を倒せば済む話だろ!!」
「無理だ、奴を倒す方法なんて無い!」
「オメーがやらなきゃいけねえのかよ!」
「"僕にしかできない事なんだ"!崩壊チップは僕が師匠(せんせい)から譲り受けた散霊手套から作ったものだ…僕の霊圧でしか起動できない!」
激しい口論の末、雨竜のその言葉に一護は驚いた顔を浮かべる。
「…考えた末の行動だ。他に方法は無い。解ったら早く行け。ハッシュヴァルトにこの事を気付かれる前に…」
「解らんな」
「!」
「"気付かれる前"とはいつの事だ。言った筈だ、"お前が何と答えるかは""視えているぞ""石田雨竜"」
ハッシュヴァルトは口許を歪めて笑う。
「黒崎…僕が奴の足止めをする。
太陽の門へ急げ」
「石田てめえ…!」
「早くしろ!今ならまだ間に合う!」
「聞こえなかったのか?言った筈だ。"お前が何と答えるかは視えていた"と。現世に繋がる太陽の門は既に破壊した」
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