第49章 Divortium-君のための嘘-
「何だ何だ?」
「オイあの旗は────」
森の奥から走って来た三人は群衆の中に飛び出す。
「聞け!」
気高い声が響き渡る。
「ユーハバッハ様よりお達しである!」
馬に乗った憲兵が言う。
「ユーハバッハの憲兵隊だ…」
「何しに来やがった…お達しだと…?」
「ユーハバッハ様は新たな戦闘部隊の設立を宣言なされた!」
一人の憲兵が旗を掲げる。
「名を星十字騎士団!尸魂界への侵攻を果たすべく設立される名誉ある騎士団である!」
「何だって…!?」
「尸魂界への侵攻…!?
何だってそんな…」
「ユーハバッハ様は尸魂界を放置すればいずれ我等の脅威となると考えておられる!無論、入隊までには厳しい審査が課せられるが…」
白装束を身に纏った憲兵隊達が人々を見定めるように視線を流す。
「旗を見つけて追いかけてきたけど…大ニュースだねバズ…」
ユーゴーがバズビーを見ると口許を上げて笑っていた。
「我こそは滅却師の為に戦わんという高き志のある者は────」
バズビーの表情はまるでこの日を待ちわびていたと言わんばかりの嬉しさで満ち溢れている。
「いくぞユーゴー」
「え…」
「お前はここにいろ」
「ちょ、ちょっと…!」
その背中を追いかけようとしてバズビーに止められる。
「お前は滅却師じゃねえだろ」
「!」
「やっと自由になれたんだ。お前はお前の道を歩め。それがきっと正しい」
「待って!二人が行くならあたしも…!」
「俺達の“目的”に付き合わせるつもりは無え。
だから大人しくそこで待ってろよ」
唇の端を上げて笑ったバズビーはユーゴーの手を引いて憲兵の前に飛び出した。
「…何だ貴様は」
「俺はバズ!こいつはユーゴー!
その星十字騎士団てのに入隊希望だ!」
詩調は不安そうに二人を見ている。
村人達の顔に緊張が走った。
「ちょっ…ちょっとバズ…!」
何を言い出すのかと焦ったユーゴーはバズビーの背中の服を掴む。
「行くぞ」
だが憲兵隊は興味がないように馬を引き返す。
「ちょっ…どこ行くんだ待てよ!
入隊希望だって言ってんだろうが!」
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