第49章 Divortium-君のための嘘-
「ほらコレ」
「…何コレ?」
「鈴。その辺に落ちてた」
「…落ちてる物を拾わない方がいいよ」
「使い道はお前に任せる!
今日はこれで解散な!」
「ちょ…バス!これどうす…」
「ちゃんと仲直りしろよー!」
手を振りながら帰って行ったバズビーを唖然と見送る。
「…どうしよ」
掌に乗る鈴を困った顔で見つめる。
とりあえずその場から立ち去ったユーゴーの足は自然と詩調の家がある方へと向かっていた。
「…あの子は素直じゃないと思う」
言いつつ、ポケットの中を漁る。出てきたのは輪ゴムぐらいの大きさの短い紐だった。ユーゴーはそれを鈴に通す。
「これで仲直りできるとは思えないけど…」
微妙な顔で詩調の家の辺りに来た時…。
「この村から出てけよ!!」
大きな声が聞こえた。
そっと覗いて見るとそこには複数の少年がいる。その中にはこの前の少年もいた。
「(え…いじめ…?)」
ユーゴーは様子を窺う。
「(あ…彼女だ──。)」
少年達の前にはうんざりした様子の詩調が嫌悪の眼差しで少年達を見ている。
「…今度は何。あたしも暇じゃないのよ」
ふと詩調の肌に目を向けると、以前傷つけられた痕とは別の新しい傷がある。
「(また暴力振るわれたんだ…)」
ユーゴーは心配そうに見ている。
「お前のせいでみんな怯えてんだよ」
「その髪のせいでな!」
「へーそうなの。
それはご愁傷様。」
詩調は素っ気なく言い返す。
「(全然動じてない…)」
ユーゴーは驚いた。
「染めろよ」
「何言ってんの?」
「赤い髪が目障りなんだよ!」
「だったら見なきゃいいじゃない」
「何だと!」
「というか…あんた達も暇なのね。あたしを貶すことしかやることないのかしら。少しは親の店とか手伝ったら?ああでも…手伝うほどあんた達の店、繁盛してないわね」
「この…っ!」
蔑むように笑う詩調。
少年達はカッとなって詩調の髪を引っ張る。
「痛ッ!」
「はは!ざまーみろ!」
「全部引っこ抜いちまえ!」
「何すんのよ!!離して!!」
「じゃあこの村から出て行け!」
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