第49章 Divortium-君のための嘘-
「誰が悪魔の子ですって!?適当なこと言ってると殴り飛ばすわよ!?」
「な、何すんだ…!!」
「莫迦な大人達に何を吹き込まれたのか知らないけどあたしはあんたみたいに直接聞いてもいないのに狂言を信じるクソ餓鬼が大嫌いなのよ!!」
「ひっ……」
「あんたの父親に言っときなさい!!悪魔だの何だのと信じる奴に限って早死にする確率が高いってね!!」
「コイツ……」
「ホンットくだらない!!珍しい髪だからって変に騒ぎ立てて見世物みたいにジロジロ見て!!今度から見物料取るわよ!?」
怒りが収まらない詩調の気迫に少年は完全に体を恐縮させている。
「目障りだからとっとと消えて!!」
少年は悔しそうな顔で逃げて行った。
「…何が悪魔の子よ…馬鹿みたい」
「今日も派手にブチ切れてたなー」
「…何でいるのよ」
茂みの中から出てきたのはバズビーとユーゴーだった。
「お前を呼びに来たに決まってんだろ?」
「…帰って」
「何でだよ」
「見て分からない?あたし今物凄く機嫌悪いの。八つ当たりされる前に消えた方がいいわ」
「…怪我してるけど」
「あんたに心配されたくない」
「ほんと可愛くない」
「何ですって!?」
「まぁまぁ、落ち着けって。気が立ってんのは分かるけどよ、少しは冷静になれ。な?」
「うっさい!」
「今日も一段と機嫌悪いな…」
バズビーは頭を掻いた。
「その傷、また親にやられたのか?」
「…別に。いつものことよ」
詩調の体には擦り傷がたくさん出来ていた。
「食事は?貰えたのか?」
「パン」
「それだけ…?」
「いつもは野菜の芯だけよ。今日は機嫌が良かったんでしょ」
ユーゴーは驚いた。
「親から逃げたいと思わないの?」
「そんなことしたら殺される」
「きみの親って本物の悪魔だね」
「…言葉は慎重に選びなさい」
さっきの今で敏感になっている詩調はユーゴーを睨みつける。
「この世界が本当に憎い。自分の存在が憎くて…堪らないわ」
詩調は苛立つように呟いた。
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