• テキストサイズ

✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第49章 Divortium-君のための嘘-




ユーゴーは少女の持つ赤い髪に目を奪われた。



「赤い髪…」



小さく呟いた言葉は少女に聞こえていた。バズビーとの言い合いを中断し、ギロリと鋭い眼光でユーゴーを睨みつける。



「あたしの髪がそんなに珍しいわけ?」



「……………」



「不愉快だわ」



すぐに“違う”と否定できなかった。



「(だって…目を奪われるほど“綺麗”だと思ったんだ。)」



「どうせあんたも気味悪いって思ってんでしょ」



その金の瞳は哀しみと憎しみが混じっている。



「だーかーらー!オメーの髪の色なんて別に珍しくもねーって言ってんだろ!」



「あんたには聞いてない」



「何だとォ!?」



ふんっと鼻を鳴らして顔を背ける。



「俺の髪だって赤いだろうが!」



「あんたの髪と一緒にしないで!」



「何も変わんねーだろ!」



再び言い合いを始めた二人。



「(薔薇のような赤──。)」



余りにもじっと見すぎたのか、少女は突き刺さる視線に鬱陶しさを感じ、その綺麗な顔が怒りで歪められる。



「何よ」



「別に何も…」



「さっきからジロジロ見て不快だわ。言いたいことがあるなら言いなさいよ」



「じゃあ…言うけど」



ユーゴーはハッキリと言った。



「その気の強い性格、どうにかならないの?」



「何ですって…?」



「あと怒りっぽい」



「喧嘩売ってるなら買うわよ」



「きみが言いたいことがあるなら言えって言ったんじゃないか」



ユーゴーは溜息を吐く。



「別にぼく、きみのこと気味悪いとか思ってない」



「……………」



「ただ、きみの名前が知りたいと思って」



「は?」



「ねぇ、きみの名前は?」



ユーゴーは未だに此方を睨んでいる少女の名前を尋ねた。



何故かはわからない。



でも、知りたいと思った。



彼女のことを───。



「…詩調」



「!」



「一色詩調よ」



真っ直ぐにユーゴーを見た。答えてくれたことに嬉しくなったユーゴーに自然と笑みが浮かぶ。



「ぼくはユーグラム。ユーグラム・ハッシュヴァルト。バズからは“ユーゴー”って呼ばれてる」



それが二人の出会いだった────。



.
/ 900ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp