第49章 Divortium-君のための嘘-
ユーゴーと出会って半年
俺の一族が住んでいた
小さな城は焼け落ちた
焼いたのはユーハバッハ
弓矢とは違う
不思議な力を使って
北の領地を牛耳るばけもの
200年前から生きてるだとか
滅却師の始祖だとか
知ったことかよ
「ユーハバッハを殺すぜ、ユーゴー」
「ぼくも行くの」
「オメーの森も焼かれたろ。焼け跡で叔父さんと途方に暮らしたきゃそうしろ」
「叔父さんは焼け死んだよ」
「そうか」
俺たちは
城の焼け跡から
掘り出した金貨で
生計を立てた
ユーハバッハを殺すため
必死で自らを鍛え上げた
ユーハバッハの側近となって
奴を殺そうと決めていた
そして 5年が経った
「新たな戦闘部隊…ですか?」
男が滅却師の始祖に対して疑問を投げかける。
「失礼ながら陛下、この光の帝国(リヒトライヒ)の中には最早、制圧すべき場所など存在しません。数ヶ月前に襲撃した例の里も今では我々の敵ではありません。そのようなものが必要とは思えませんが…」
「蒼月の里は落とし損ねたが邪魔な当主達の殺害には成功した。だがザイドリッツ、油断は禁物だ。あの里にはまだ『宝物』が残っている。彼奴等とて最愛の母を殺した相手を逃す程、莫迦ではない。必ず我々の目的を阻止しに来るだろう。それこそ…復讐という形でな」
ユーハバッハの言葉に目を見開き驚く。
「それに“この国”ではないザイドリッツ。
次に制圧するのは尸魂界だ」
「……何と──……」
「奴等を倒すには新たな力を以てせねば叶わぬだろう。部隊の名は星十字騎士団」
「今日はお前に紹介したい奴がいる!」
「きみ何でそんなに傷だらけなの…」
「嫌がるところを無理やり引っ張ってきたせいで殴られた!でもいつものことだからな!」
陽気に笑ったバズビーは後ろを振り向く。
「俺のもう一人の子分だ!」
そこにいたのは一人の少女だった。
「誰があんたの子分よ…ぶっ飛ばすわよ」
暗い目をした少女は苛立つ様子でバズビーを睨んでいる。
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