第49章 Divortium-君のための嘘-
「お前にも苦労をかけた。あたし達の問題に巻き込んで悪かった。だがお前のおかげで自由になることができる」
「気にしないで。こうなる運命だったと思えば悪くないよ。それに魂が一つに還れば、半減された力も取り戻す。彼女ならきっと世界を救ってくれる。彼女が信じた、大事な仲間と共に」
「そうだな…あいつは本当に良い仲間を持った。現世で友と呼べる存在ができ、尸魂界では仲間と呼べる存在ができた。昔のあいつと比べたら大きな変化だ」
ピキッ
千歳が『終わりの魔法』を発動させたことで箱庭世界の崩壊が始まった。
空はヒビ割れたような亀裂が走り、建物は光の粒となって消滅していく。少女が長年過ごした塔もボロボロと崩れ落ち、宙で光の粒に変化し、地面に当たって弾けて消えた。
「ンだよ…何が終わりだよ」
「……………」
「こんなところで俺は終わるのか?」
顔を俯かせたまま、伏見は独り言のように呟く。それを何も言わずに見つめる二人。
「っ、」
伏見が顔を上げると、その瞳は憎しげに此方を睨みつけている。苛立ちが増していると一目で分かった。
「何でテメェらと心中しなきゃなんねえんだよ。俺はテメェらを殺すまで死なねえって決めたんだ。この忌まわしい“幼馴染の絆”ってやつを壊す為にな!」
「壊せないさ。あたし達の絆は例え幼馴染のお前でも壊せない。どうしてか分かるか?」
「知るか!」
「それはな…あたし達が幼馴染だからだ」
「は?」
「生まれた時からずっと一緒だったあたし達の絆は日を重ねる度に強くなった」
千歳は嬉しそうな顔で語る。
「あたしが泣いていた時、傍には必ずお前達がいてくれた。会いたいと思った時、必ずお前達が会いに来てくれた。あたしはね、そんなお前達だからこれからもずっと傍にいてほしいと思ったんだ」
「……………」
「子供の頃、たくさんの探検に出たな。その時にはいつもお前が率先して一番前を歩いてくれた。はぐれるといけないからってお前が手を繋ごうって言ってくれたから、あたし達は探検に出かける際にはいつも手を繋いでいたな」
「…昔の話だろ」
「そうだな。お前が気にしない程の昔の話だ。だけどあたしにとっては懐かしい話なんだ」
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