第49章 Divortium-君のための嘘-

「ただお前の相手は…あたし達にしか務まらないと思っただけだ」



「何だそれ」



「お前がどんなにあたし達を嫌おうが、殺したいと思っていようが、あたし達はお前の幼馴染だ。そして大切な人を失った気持ちは同じだと思ってる」



「しつけえって何度言やぁ分かんだ」



伏見はギリッと剣を握りしめる。



「なァ…お前もそうだろ？」



千歳は少女に問いかけた。



「伏見は昔から不器用な奴だ。口は悪いし我儘だし生意気だし馬鹿だし阿呆だし、変に威勢を張ろうとする」



「おい、いきなりディスってんじゃねえ」



「鬼事では最初にコイツが捕まるし、隠れんぼでも最初にコイツが見つかる。そして納得がいくまで何度でも付き合ってたな」



「ふざけんな！鬼事は鬼は一人しかいねえのにお前らが俺を挟み撃ちにしていつも捕まえようとしたんだろ！隠れんぼだってお前らが俺の隠れ場所を教え合って鬼に伝えてたんだろうが！だから俺が何度もやり直しを…」



「ふふ」



「…何笑ってんだ」



可笑しくて思わず笑ってしまった少女をジト目で睨みつける伏見。



「『私』はキミ達の子供の頃は彼女の記憶を通してしか見たことがないけど、とても楽しかったんだなと思って」



「はあ？何でそうなるんだよ」



「だってキミが怒りながら楽しそうに話すから」



「……は？」



伏見は少女の言葉を一瞬理解できなかった。



「楽しそう？俺が？」



「懐かしそうに話すなって思っただけだから気にしないで」



「……………」



「ただ、キミ達はとても仲が良いんだな。あ、これも思っただけだから気にしないで」



「…わざとだろお前」



「さあ。」



「チッ…」



罰が悪そうに舌打ちをした。



「…わかった」



「え？」



「『わかった』っつったんだ。仕方ねえからお前らに協力してやる」



二人は顔を見合わせる。



「どういう心の変化だ？」



「くだくだうるせえな。協力してやるんだから余計な詮索はいいんだよ」



「協力してくれるだけでも助かる。悪いな、お前はあたし達が嫌いなのに無理を言って」



「……………」



「さて…今から作戦を伝える。喧しい虚共を蹴散らすぞ」



千歳がニヤリと笑った。



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