第49章 Divortium-君のための嘘-

斬っては倒しを繰り返し、虚を消滅させていくが、また黒腔から次々と新しい虚が現れる。



「キリがない…！」



大虚(ｷﾞﾘｱﾝ)が虚閃を放つ。それを剣で裂き、駆け出した少女は大虚(ｷﾞﾘｱﾝ)を真っ二つに斬る。



「方法を変えた方がいいな」



防御壁を展開させながら斧で虚を破壊していた千歳が少女の隣に降り立つ。



「でないと…あたし達まで呑まれる」



千歳は遠くで戦ってる伏見を見ながら言う。そして『瞬間魔法』を使い、伏見の元に移動すると、今まさに虚閃を発射させようとしている大虚(ｱｼﾞｭｰｶｽ)を破壊した。



「余計な真似してんじゃねえよ！」



「あたしの提案を呑め」



「三人で協力して戦うってやつか？さっき断ったろ。俺はテメェらの力を借りる気なんざねえよ」



「このままじゃ三人とも虚の餌食になるぞ」



「ふざけんな！俺はやられねえ！こんな雑魚共相手に俺が敗けるはずねえだろ！」



「威勢を張るなよ、お前の昔からの癖だぞ。現に今のお前は“無理な戦い方”をして呼吸が上がってるし、体だってボロボロじゃないか」



「うるせえな…俺がどう戦おうとお前に関係ねえだろ」



「確かに関係ないな。だがあの男の思い通りになるのは面白くない。お前が一言『わかった』と言えばいいんだ」



「テメェもしつけえな」



「そう邪険にするなよ、あたし達幼馴染だろ？」



「っ、そういうのが嫌なんだよ!!」



挑発するような千歳の言葉にまんまと乗せられた伏見はブチ切れた。牙を剥くように千歳に食ってかかり、苛立ちをぶつける。



「マジで鬱陶しい!!テメェらいつまで俺をガキの俺と重ねてんだ!!その“幼馴染”がうぜぇんだよ!!何かあれば幼馴染幼馴染って…馬鹿の一つ覚えみたいに口にしやがって…いい加減にしろよ!!」



「…なるほど。お前はあたし達が嫌いか。あたし達の存在がお前を苦しめてるんだな」



「！」



「ずっと邪魔だったんだろ？あたし達の顔が頭の中に残って消したかったんだよな？」



「千歳…？」



伏見の言葉に同情する千歳を不思議そうに見る。



「なんだよ…同情でもしてんのか？」



「誰がお前に同情なんかするか」



すっぱり言い切った。



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