第49章 Divortium-君のための嘘-
「あたし達の武器は虚に通用するのか?」
「わからない…」
「なぁ二人とも。ここは一つ提案があるんだが。三人で協力して虚共を蹴散らさないか」
「断る。」
「ホントに空気読めないなお前」
「何で俺がお前らと協力しなきゃなんねえんだ。やるなら俺一人でやるからテメェはそこで大人しくしてるんだな」
「待て伏見!こいつらは相当手強い!単独で全部片付けるのは無理だ!」
「俺に指図すんじゃねえ!」
千歳の制止を聞かず、伏見は剣を構えると、地を蹴り、虚を正面から叩っ斬った。
「なーんだ。簡単に殺せ…」
「伏見!!後ろだ!!」
余裕な笑みを見せていたが、千歳の焦る声にハッとする。後ろにいた虚(アジューカス)は口を大きく開くと伏見に向けて虚閃を発射させた。
「ぐあああ!!」
破壊の閃光が直撃した伏見は塔の外に落ちてしまう。
「伏見!!」
「千歳!危ない!」
駆け寄ろうとした千歳の目の前に現れた最下級大虚(ギリアン)と中級大虚(アジューカス)の二体が、同時に赤い閃光を発射させる。
「くっ!」
直様、自分の前に防御壁を展開させ、二倍の虚閃から身を守った千歳。彼女の機転のおかげで少女も被害を受けずに済んだ。
「まずいぞこれは…。いくらあたし達の強さが他の奴等よりあるって言っても…これだけの虚を相手にするのは正直骨が折れる」
千歳は断罪の斧を構える。
「とりあえずギリアンから倒そう」
「わかった」
「伏見は…まぁ大丈夫だろ。お前はあっちの虚を一掃しろ。あたしはこっちの虚をやる」
頷いた少女は剥き出しになった階段を駆け下りて塔の外に出た。上では千歳が派手に斧を振るっている。
「きっとこのままじゃ勝てない。運命は“この結末”を望んでいない。やっぱり力を合わせて戦うしかないのか…?」
悶々と考えるが結局辿り着く答えは一つだった。大虚の群れが少女を囲むように近寄って来る。
「幸せを壊す敵はここにもいたか」
少女は冷たい眼を宿し、剣を構えた。そして目の前の大虚を次々と斬り殺していく。その姿はまるで…向こう側にいる“彼女”を連想させた。
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