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✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第48章 Aurum-名も亡き人形-




「く……ッ」



無理やり体を捻ってその場から回避したおかげで短剣は刺さらなかった。だが聖兎は体勢を立て直す隙を与えない。



「安心するのはまだ早いですよ」



床に落ちた短剣を走り様に拾い上げて駆け出し、名も亡き人形に向けて振り下ろす。



ガンッ



押し倒された名も亡き人形は馬乗りになる聖兎の短剣を両手で受け止める。



聖兎は手に力を込めて短剣を突き刺そうとするが、名も亡き人形はそれを全力で阻止する。



「本気を出して頂けませんか」



「何…?」



「貴方からは殺気を感じません。
戦う気がないのですか?」



「黙れ」



ガッ



「うぐ…っ!」



馬乗りになっている聖兎の腹を蹴り飛ばす。軽く吹っ飛んだ聖兎は痛みで声を上げ、床に倒れ込んだ。



「“戦う気がない”…?
どうやらお前は勘違いをしている」



「勘違い…?」



「すぐに殺してしまってはつまらないだろう」



素顔を隠したフードの下で笑った様な気がした。



「だが失望させてしまったのなら謝ろう。お前の望み通り、本気を出してやる。だからお前も本気で戦え」



「…わかりました」



聖兎は戦う術である短剣を床に捨てた。



それを見た名も亡き人形は不思議そうな空気を出す。



「短剣を捨ててどうやって戦うつもりだ?」



「短剣は護身用です」



すると両脇を引き締めて拳を構えた聖兎の目つきが変わった。



「!!」



ダンッと力強く床を蹴り、一瞬で間合いを詰め、名も亡き人形に向けて拳を振った。



ビュンッ



「(っ、なんだ?急に雰囲気が…)」



咄嗟にその拳を後ろに飛んで躱す。



体勢を立て直そうとするが聖兎は瞬時に間合いを詰めて来た。



「!?」



ビュンッ



「っ………!」



今度は片足を上げて鞭の様に振るった。



ドゴッ!



「がッ!」



横合いからの衝撃に勢い良く吹っ飛ぶ。



「ごほっ、げほっ…」



「さあ、立って下さい。まだ終わりじゃありません。貴方はお嬢様が大事にされてる双子を怯えさせました。その責任を取ってもらいます」



聖兎は冷たい眼を宿す。



「なん…だ、その技は…?」



蹴られた箇所を手で押さえながらよろりと立ち上がる。



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