第48章 Aurum-名も亡き人形-
「はぁぁ…助かったあ!」
ガバッと起き上がり、陽気に笑う。
彼女は無傷だった。
一護達は梨央が生き返ったことを知り、驚いた表情を浮かべている。
「ど…どうなってんだ!?
死んでたんじゃなかったのかよ!?」
「そうだね、死んだね」
「何で生き返ったんだよ!!」
「あはは、久々に新鮮な反応に出会えた。んとね…なんて説明したらいいのかな。確かに死んだんだけど…死んでないというか…」
「そんな下手な説明あるか!」
「まあまあ、そんなに怒らないで」
怒る一護を宥めて落ち着かせる。
「その勾玉には私の霊力が込められてるんだ。そのおかげで私は無事だったってこと」
「本当に何ともないんだな…?」
「もちろん」
ニコリと笑み、織姫を見た。
「ありがと織姫ちゃん。私を助けようとしてくれて。その心遣いがとても嬉しかった」
「梨央ちゃん…良かったぁぁ…っ」
「織姫ちゃん、何も泣かなくても…」
「だって…本当に死んじゃったかと思って…」
「こうして生きて会えたでしょう」
「うん」
二人は笑い合った。
「コレ、返すよ」
一護に勾玉を返した。
「──いっちー、ユーハバッハを止めて」
「!」
「零番隊は奴らに敗れた。私は奴に勝てなかった。殺したいほど憎い奴がいるのに…私の力は奴に通用しなかった。刃は…届かなかった」
ギュッと掌を握り締める。
「奴を止められる者はもう他にいない。優しいキミのことだ、殺せとは言わないよ。ただ、止めてくれ」
どこかやり切れない思いで梨央は遠くを見つめる。
「キミは私の希望だったよ」
「!」
「ありがとう」
その笑顔に違和感を感じた一護。
「(コイツ…こんな顔で笑う奴だったか?)」
「さあ、行って。必ずあの男を止めてくれ。この世界を奴の世界にさせないでくれ。私はキミ達を信じてる。友達を…信じてる」
「…梨央、オマエが何を考えてるのかは俺には分からねえ。けどこれだけは言わせろ」
「?」
「冬獅郎を悲しませんなよ」
「!」
それだけ言い残すと一護達はユーハバッハの後を追って走り出した。
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