第48章 Aurum-名も亡き人形-
一護達を乗せた砲台が急激な速さで降下する。やがて地面に着陸すると中から岩鷲が一人だけ、こぼれ落ちた。
「ご…ごめんね岩鷲くん…。
三天結盾からもれちゃって…」
「いいってことよ!!」
全員が霊王宮に降り立つ。
「静かだ…どうなってるんだ…?
戦いは終わったのか…?」
「!!!」
すると辺りを見回していた一護が何かに気付いた。それにつられて全員、一護と同じ方向に目を向ける。
「っ!?梨央ちゃん…!!!」
織姫の悲鳴が響き渡る。
うつ伏せに倒れている梨央の身体は巨大な槍に貫かれ、床には血溜まりが出来ていた。手から離れた斬魄刀が寂しげに転がっている。
「これは…酷い…」
「どうして…」
「…梨央の霊圧を感じねぇ…」
一護は顔をしかめ、織姫はショックを受けて泣きそうになっている。岩鷲も血だらけの梨央の姿を直視できず目を逸らし、茶渡は驚いた表情を浮かべている。
「そんな…梨央ちゃん!!」
織姫は梨央に駆け寄る。
「あたし治してみる…!」
「ムリだろ!こんな血まみれで…生きてるかどうかも…」
「っ……………」
岩鷲の言葉に織姫は息を呑む。
「梨央ちゃんは…あたしを助けてくれた。虚圏の時、月島さんに操られた時、命をかけて梨央ちゃんはあたしを護ってくれた。だから今度はあたしが梨央ちゃんを助ける番!」
「井上……」
「大切な友達だもん。絶対に助けてみせる」
「けどコイツはもう…」
「諦めない」
織姫は梨央を悲しげに見る。
「すぐに助けに来られなくてごめんね」
涙を堪え、治そうとした。
《いっちー……》
「!?梨央…!?」
《いっちー…勾玉を…》
「どうした!?」
「わかんねえ…梨央の声が聞こえる…」
《キミにあげた勾玉を…》
《掌に乗せて…いっちー…》
「勾玉を…」
首に下げていた青い勾玉を外して、一護は梨央の掌に乗せた。すると勾玉が光り出し、梨央を突き刺していた槍が消え、空いた穴も塞がった。
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