第46章 Zero-零を受け継ぐ者たち-
「だから壁が何枚あろうと防げはしない」
「!?」
「何ッ…」
「蒼ちゃん…!!!」
悲鳴を上げる様に叫んだ霙が見たのは胸に穴を空けられた蒼生だった。リジェの撃った弾は蒼生の胸を貫通していたのだ。
「ゴフ…ッ」
目を見開く蒼生の口から血が吹き出す。
「っ!!」
梨央が咄嗟に駆け寄ろうとするが…。
「動くんじゃねえ!!」
「!!」
蒼生は声を張り上げて叫んだ。梨央は足を止め、瞠目したまま、蒼生を見ている。
「そこにいろ」
此方を見ずに、痛みを我慢しながら眉を顰め、辛そうに笑う。
「………………」
何かを思い出したかの様に辛そうに表情を歪め、仲間の元に駆け寄る事を思い留まる。ギュッと目を閉じて背を向けた。
「(そうだ我慢しろ…思い留まれ…。
みんなとの約束を忘れるな…)」
キツく掌を握り締め、駆け寄りたい気持ちを必死に抑える。
「僕の力の名は『万物貫通』。弾は無い、銃口と標的の間にあるものを全て等しく貫通する。一列に並んでくれるかな。一発で撃ち殺せるように」
リジェはライフル銃を構えて言う。
「…こいつらに反撃する力は?」
「残念ながら残ってねえっス…」
「でも…一撃なら…」
「制御装置を外す…」
「あたし達がやられたら隊長が悲しむわ」
「梨央ちゃん…ちゃんと霙達との約束、守ってくれてる」
「隊長にとっては…死よりも残酷なことよ」
「それでも…首を振ってくれた」
「やりましょう」
三人はユーハバッハ達を見据える。
「霙はライフル男を」
「ラジャ」
「御影は親玉を」
「リョーカイ」
「あたしは…あいつを殺るわ」
詩調は怖い顔でハッシュヴァルトを睨み付ける。
「何をするつもりだ?」
疑問を投げるリジェを無視して三人は制御装置を外した。
その瞬間、封印していた霊圧が一気に解放され、青白い光が三人を包む。
「最後の悪足掻きか?」
ユーハバッハは鼻で笑う。
すると三人は敵の前から姿を消し、それぞれの相手の前に現れる。
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