第46章 Zero-零を受け継ぐ者たち-
「これで終わりよ!!」
詩調の刀に冷気が纏う。
琉生の刀に電気が纏う。
霙の銃は力を増して桜色に輝いている。
詩調と琉生は振り上げた刀を振り下ろし、霙は二丁拳銃の引き金を引いた。
「…だから貴様達は甘いのだ」
ユーハバッハが、笑った。
世界を嘲笑うように、不合理を否定するかのように、声を洩らして小さく笑んだ。
「「「!!」」」
ユーハバッハが言葉を発した瞬間、刀に纏った冷気と電気が消え、桜色の輝きを放っていた銃は色を失い、弾も発射されなかった。
「え…?」
詩調は驚いた様子で目を見開く。
それは他の二人も同じだった。
そして、次の瞬間────……
ドサッ
三人は床に伏せる様に倒れ込んだ。
「何…何が…起こって…」
「体が…動かない…!?」
「力が入らないよ!!」
三人は立ち上がろうにも体に力が入らず、成す術を絶たれる。
だが…その力を目の当たりにした二人だけは、違った。
三人とは違う反応を示している。
酷くショックを受けた顔で、青ざめていた。
“知っているのだ その力の元の持ち主を”
それは奴のモノでは無かった
奴が、奪って、得た力なのだ。
その力は、彼女の力だった
梨央と蒼生の母親
罪禍の力なのだ───。
「知っている筈だ、この力を」
ユーハバッハの視線は二人に向けられる。
「何の話…?」
霙が不思議そうに問う。
「この力は私のものではない。元は此奴等の母親が持っていた力だ。それを私が奪ったのだ」
「…力を…奪った…?」
「“あらゆる能力(力)を無効化し、あらゆるものを奪う”。それが『怪物』と呼ばれた女の持つ力なのだ」
「!?」
「私は貴様達の“能力を無効化”し、更には貴様達から身体の自由を奪った!!」
三人は衝撃を受ける。ユーハバッハは嗤い、蒼生に目を向けた。
「高峰蒼生。いや…“仁科蒼生“。貴様の望みは叶わなかったようだな」
「!?」
「残念だ」
「て…めぇ…」
「殺せ」
リジェはライフルを構え、連射した。何発もの銃声が霊王宮に響き渡った。
next…