第46章 Zero-零を受け継ぐ者たち-
「あ?久しぶりに引っ張り出したからか?
刃元がグラつい…」
蒼生が刀に目を向けた瞬間、ヴァルキリーが間合いを詰めて蒼生に斬りかかる。
「てるなッ」
ビュンッ
体を後ろに逸らし、ヴァルキリーが振り切った剣を躱す。
「よく躱したッ!」
「簡単に躱せんだよ」
「そうか!ならば次は…」
「こっちの番だ」
ドシャッ
「は?」
ヴァルキリーが突然、床に倒れる。
「おい…何だよ嘘だろ?」
気付かぬ間に蒼生に斬られたヴァルキリーが血飛沫を上げる。
「なんだ、随分とあっけない死に様だな」
冷たい眼で瀕したヴァルキリーを見下ろす。
「───妙な術を使うな」
「どういう意味だ」
「まやかしだ。見れば解る」
「まやかしねぇ…」
「そんなゼリーのようなものの中に浸された刃がグラつく程痛んだ剣でジェラルドが斬れる訳が無い」
リジェはライフル銃を構え、蒼生に向けて射撃する。
弾丸は蒼生に当たる事無く、真っ二つに裂けて樹に貫通した。
「!?」
リジェは驚いた表情を浮かべる。
「…今何をした?」
「何も。こうやって構えたとこにお前の百発百中な弾丸が見事に命中して真っ二つになっただけだ」
「チッ」
もう一度、弾丸を射撃する。
蒼生は刀を振り続ける。
弾丸はやはり蒼生に当たらず、真っ二つに裂けて樹に当たった。
すると蒼生は間合いを詰めてリジェの腕を斬り落とす。
「何」
斬られた箇所から派手な鮮血が宙に飛び散る。
「…ル…ルア…」
片言に言葉を発するペルニダに刀が突き刺さる。
斬速でペルニダの元まで移動した蒼生は刺さったままの刀をペルニダから引き抜くと、そのまま近くにいたナックルヴァールに向けてシュッと振り抜いた。
ナックルヴァールは血を噴いて床に倒れ込む。
「!へえ…上手いな。俺の斬速に合わせてバレないように後ろに跳んだ。こいつの“斬れ味”を見抜いてなけりゃできないことだ」
「…バレてんじゃねーか。!、」
蒼生は“斬れ味”抜群の刀でナックルヴァールを斬った。
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