第46章 Zero-零を受け継ぐ者たち-
「!?」
彼らが見ていた霊王宮の風景全てが、無くなった。
「どういう事だ!?
ここは一体どこなんだ!!!」
「ここはあんた達を迎え入れる為の偽りの霊王宮。本物の霊王宮は向こうで隊長が隠してるわ」
何も無かった筈の空に突如、“隠”という文字が書き浮かび、隠していた本物の霊王宮が姿を見せる。
「なんだもうバラしたのか」
梨央はどこか楽しげに笑って言った。
直様、リジェはライフル銃を構えようとする。
「ということは…“檻”が間に合ったんだな」
構えたライフル銃を発砲した。
「無駄だよ」
銃口から発射された弾丸は狙う的を外し、上に伸びた木に当たる。
「何!!!」
「いえーい!間に合わせたよォ!」
両手を万歳した霙が笑顔で言う。
「これだけ大きな“産褥”を設えたのは久し振りだから大変だったけどね!」
ユーハバッハ達がいる場所を囲む様に何本もの木がアーチ状に組み込まれる。
「おっとォ…何だイこりゃあ…」
「おのれ奇っ怪な術を!」
リジェはライフル銃を構えて連続で射撃する。
「同じ箇所を連劇しても壊れない。
隙間を狙っても枝が瞬時に伸びてくる」
「ハハッ!万物貫通(イクサクシス)の名折れだな!
リジェ!」
「貫通してるよ!食物を操るということは命を操るということ!霙は命を形作る為に料理をロボット達に作らせ、その材料を自らの体から産み出す。この樹は霙の霊圧を食らって実をつける」
霙の掌から小さな樹が生え、実をつけた。
「貴方の銃弾は超高濃度の霊子の塊でしょ。そんなオイシイものこの命の樹は逃さないし、貫かれたって成長速度がそれを上回るんだよん☆」
「………………」
「好きに暴れてくれていいよ〜。貴方達の能力はこの『命の檻』から出られやしない!」
ドンッ
「「!!」」
「てめぇらはここで始末する」
大きな透明なケースが置かれる。
「雑魚に通らす道は無ェ」
蒼生はゼリーの様なものの中に浸された刀を引き抜く。
「黙ってまとめてかかって来いよ。
全員、ぶっ倒す」
刀を構えるとカチャカチャと音を立てる。
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