第46章 Zero-零を受け継ぐ者たち-
嫌な予感を感じたワイゾルの表情が焦り出す。
「嘘らこんな…」
「何が嘘なのよ。ああ、それ、簡単には脱げないわよ。さあ、仕上げといこうかしら」
刀の切っ先をワイゾルに突き付ける。
「!?」
「『煌めき散らせ 雪月花』」
ひんやりとした冷気が刀を纏う。
「『一ノ雪・煉冥氷華』」
ワイゾルの足下に氷の華が現れる。
そして華の中から強烈な吹雪が放出され、ワイゾルを氷漬けにした。吹雪に混じった小さな氷の破片がワイゾルの全身に突き刺さり、痛々しい姿で血を流している。
「血に染まった氷の彫刻として死を終えるのも乙なもんでしょ」
ピシッとヒビ割れを起こすとワイゾルごと氷は粉々に砕けて床に落ちた。
「さて…これでようやくあんたに刃が届くようになったわ」
無数の氷の刃を出現させる。
「そう思うか」
ユーハバッハの影が伸び、その中から聖兵が現れた。
「貴様の創る氷の刃など一度砕いてしまえば良いだけの事。我が聖兵で事足りる。そしてお前達は我が親衛隊が相手をしよう」
そこに現れたのは四人の星十字騎士団だった。
琉生も瞬歩を使って詩調の隣に立つ。
「おっとォ、よく見たら下から連れてきて頂いたのは俺一人かよ。こいつは活躍しねェとなァ…」
「そうだな!貴様が役に立たん様なら我が貴様を斬って捨てるぞ!」
ヴァルキリーが鉾から剣を引き抜くとそのまま詩調に向かって走り出す。
詩調も刀で対抗し、ヴァルキリーの剣を刀で塞ぐ。
ザシュッ
「!」
ヴァルキリーが振り下ろした剣に堪えられず、詩調は肩を斬られてしまう。
「ぐ…っ!」
「女の細腕で我の剣を止められるものか!」
一旦、飛び退いて距離を置く。
「!む?」
ガキィン!!
横から刀を握りしめた琉生が現れ、ヴァルキリーは振り向き様に剣を構える。二つの刃のぶつかり合う音が響く。惜しくも琉生が振り下ろした刀はヴァルキリーの剣で塞ぎ止められてしまった。
「チッ」
琉生は悔しそうに舌打ちを打つ。
「甘いぞチャラいの!!
貴様の力では我は倒せぬ!」
「なんかあんたにチャラいって言われるの…スゲー腹立つんスけど」
ガチガチと刀の押し合いが続く。
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