第45章 Neglecti-気づかないふり-
「縛道の────」
「馬鹿野郎!鬼道ぐらいで防げるかよッ!」
咄嗟に一角が弓親を弾き飛ばすと同時に日番谷は刀を振る。
すると氷が波の様に襲いかかった。
千歳は円形に複雑な模様が刻まれた魔法陣を自分の前に出現させて襲いかかる氷の攻撃を防いだ。
「うっ」
一方で一角に弾き飛ばされた弓親は激しく地面に叩きつけられる。
「げほっごほっ」
その衝撃でむせ返る弓親は腹を押さえた。
「さすが一角、無茶してくれるよ…」
弓親は苦しそうに顔を歪めながら一角を見る。
「一角!」
一角の足は氷漬けにされていた。
「くそっ…死体とは言え十番隊隊長だな…。
足一本で済んでツイてたぜ…」
ドンッ
「!」
だが一角の体は日番谷が振り下ろした刀で貫かれる。
「ち…っ、くしょう…」
ガン!
「…よくも一角を…!!」
弓親の傍には血を流し意識を失った一角が倒れている。
「瑠璃色…」
日番谷は始解しようとした弓親の腹を足で蹴ると頭を掴んで頭突きを食らわしてから刀で斬り捨てる。
血を流して倒れた弓親も意識を失った。
「成程成程、死体とは言え身のこなしは生前のままの様だ」
背後に立つ涅に向けて振り向き様に刀を振り抜くが…そこに涅の姿は無い。
「否、彼方のゾンビ娘に意志があってキミに意志が無い所を見ると死ぬ前にゾンビ化された、と見るべきかネ」
「あったり───ッ、死ぬ前にゾンビにしちゃった方が細胞が新鮮だから動きはいいし、意志は消えるから操り放題だしいいことばっかりなんだよね───ッ」
「成程、何とも滑稽な話だネ」
「?」
「意志の無い者を操って何が面白いのかと問いたい」
「ボク、Sじゃないからそんなの問われても困るんですけど」
涅は少し離れた場所でこちらの様子を伺っている千歳に言葉を投げかけた。
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