第45章 Neglecti-気づかないふり-
「あ───あ───あ───ッ、大さわぎだなァもう。ハイ、バンビちゃんこれつけてねーッ」
ボロボロのバンビに千切れた腕をくっ付けるジジ。
その背後に破面が立っている。
「…あんたがボクの相手なの?
あっちの発光体じゃなくて?」
「ええ…あたしの本能が…あなたと戦えと言っているのよ…。だってあなた…あたしと良く似てるんですもの…」
「どこが!?バンビちゃん!!」
バンビの撃った球体が放たれるが、それを軽々と躱した破面は彼女の顔面をガッと鷲掴み…
「あなたみたいな乳臭いガキには…剣を抜くまでもないわ」
思いきり投げ飛ばす。
投げた先には涅もいたがバンビは塔にぶつかった。
「…私に当たらず残念だったネ」
「ちがいますう〜〜!
手がスベったんですう〜〜!」
ドン!
仕留めた筈のバンビが崩壊する塔の煙の中から現れる。
「あら、まだピンピンしてるのね。やっぱりゾンビだから粉々にしないと死なないの…かしらッ!?」
虚閃を撃つとバンビに直撃した。
「わあ───ッ、強いなァ」
やられるバンビを見上げながら言う。
「バンビちゃんじゃ歯が立たないのかあ…しょうがないな────ッ」
「!!」
「出て来ていいよーッ、隊長さーんッ」
ジジが呼ぶとそこに現れたのは…
「…成程、こいつは厄介だネ…」
ゾンビ化した日番谷だった。
「銀髪に翡翠の瞳…」
日番谷の容姿に千歳は驚いた様子を見せる。
「あいつが梨央の…」
だが千歳は訝しげに表情を歪めた。
「やはり死神は役に立たないな」
斧を持つ手に力を込める。
「嘘だろ…」
「あれは…!」
「日番谷隊長…!!!」
ゾンビ化された日番谷の表情はどこか悲しそうに見える。
「…霊圧が殆ど消えたままとは思ってたが…」
「なんて事だ…!」
ガシャン…
「!」
刀を構える日番谷を見た弓親は慌てて鬼道を発動させる。
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