第45章 Neglecti-気づかないふり-
琉生は冷めた眼差しでユーハバッハ達を睨み利かす。
「零番隊第四席、御影琉生。
貴様如きが私を止められると思ってか!」
「思ってなけりゃ出て来ねえっスよ。あんたを隊長の所には行かせない。ここで止める…!!」
ダンッと片手を地面に付ける。
するとユーハバッハ達の後ろから大量のお湯が滝のように落下した。
「あっ…熱い!!」
「熱つつつつァア!!!」
濁流のように熱湯に呑まれ、敵が掛けているゴーグルも熱さに耐えられずに割れてしまった。
「どうスかウチの湯加減は。こいつはウチの特製で血と霊圧を搾り出す湯っス。火傷に気を付けた方がいいっスよ」
琉生の周りを中心にお湯がドーナツ状に回る。
「鳴り響け 雷鳴鬼!」
始解すると刀に電気が纏った。
◇◆◇
【尸魂界】
その頃、千歳は弓親と一角と共にジジを相手に敵対していたが突如眩い光に照らされ、手で顔を隠すように覆う。
凝らした目で光の正体を確認すると眩い輝きを放つ涅マユリと死んだ筈の破面達がいた。
「誰だあの金ピカは?」
「十二番隊の隊長さ」
「十二番隊?」
「何だネ、その小娘は。」
「小娘じゃない。夕凪千歳だ。」
「夕凪…はて?
そんな名前の奴は知らんネ」
「初対面なんだから知らなくて当然だろ。というかその金ピカはどうにかならないのか?眩しすぎてろくに目も開けていられない。もし失明でもしたらお前に責任をとってもらうからな」
「…君の言葉は勘に障るネ…。
どこかのイカれ娘と同じニオイがするヨ」
「ああ、なるほど…お前が涅マユリか。
ふっ…確かにアイツの一番嫌いなタイプだな」
「…小娘、何者だネ?」
涅は訝しげに表情をしかめ、千歳を警戒する。
「そんなに警戒するな。別に破壊(こわ)そうとは思ってない。だが一応挨拶は常識だしな…面倒くさいが名乗ってやるか」
千歳は溜息を吐いて涅を見た。
「夕凪家二十八代目当主、夕凪千歳。
お前が毛嫌いする仁科梨央の幼馴染みだよ」
「ああ思い出したヨ。夕凪家…確か防御力に長けた家系だったかネ?興味が無くて今まで忘れていたヨ」
「そのゾンビみたいな破面はなんだ?
死んでるんじゃないのか?」
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