第45章 Neglecti-気づかないふり-
「…カッコつかねえから何度も言わせんじゃねえよ。通さねえって言ったろ」
そこにルキア達も現れて滅却師達の行く手を阻む。
「1、2、3、4、5、6人。
何だよ、1対1にもならねえ人数じゃねえか」
「げっ、死亡グラフ決定ルートだな」
「!!」
戦いの中心に降り立ったのは夕陽色の髪を持つ少女だ。
突然の登場にその場にいる全員が驚く中、白哉だけは少女を見ても冷静だった。
「誰だお前…?」
「何でお前なんかに応えなきゃならないんだ」
「あ?」
バズビーは顔をしかめる。
「“夕陽色の髪を持つ…天使”?」
ルキアは少女の容姿を見て思わず呟いた。
「天使とは解せないな」
「!」
少女は不機嫌そうにルキアを見る。
「お前、朽木家の者だろう?」
「何故それを…!」
「知ってるに決まってんでしょ。“五大貴族”の所為であたし達“三大貴族”の存在は忘れ去られてるんだから。というか同じ上級貴族なんだし顔くらいは覚えるわよ」
「!三大貴族…?」
「───夕凪千歳。」
「兄様、あの者を知っておられるのですか?」
「三大貴族、夕凪家の当主だ」
「!?」
「夕凪…」
「じゃあアイツが梨央と同じ…」
「懐かしい名前が聞こえたな。そうか、お前達は梨央の知り合いか。いや…見たところ…仲間か?」
興味なさそうに呟いて辺りを見回す。
「ここにあいつはいない…」
千歳は踵を返すと片手を上げて立ち去ろうとする。
「戦いの最中に邪魔したな。あたしは行くから精々死ぬ気で頑張れよ。特に…そこの朽木家の妹と赤い髪のお前」
「「!」」
「あいつは友達が傷付くと悲しむ。
だから…あいつの為にも死に急ぎ過ぎるな」
それを言い残して千歳は背を向けて歩き出す。
ビュンッ
「!」
光線が直撃する寸前、咄嗟に出現させた斧で攻撃を防ぐ。
「………………」
斧を少し下げて千歳は冷たい眼でバズビーを睨む。
「素直に逃すと思ってんのか?」
「あたしはお前達と戦うつもりは無い」
「お前には無くてもこっちにはあるんだよ」
苛立った様に千歳は顔を歪めた。
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