第45章 Neglecti-気づかないふり-
「ありがとう、いっちー」
「つーかお前がそんなに悩んでたなんてな」
「これでも罪悪感は感じたんだ」
「俺はどんなお前でも許したよ」
「わあキュンときたー」
「嘘つけ」
「心が救われた気分だよ」
「!」
「これは嘘じゃないからね」
「おう」
「本当にありがとう」
感謝する梨央に一護も小さく笑った。
「あー!まだこんな所にいるのー!?」
「鬼灯、どうした?」
「どうしたじゃないよもー!
いっちーののんびり屋さん!!」
「?」
「もう始まってるよ!!」
「え?」
「だーかーらー!滅却師なら3時間前にもう攻めて来てるのー!」
だんっ
「早く言え!!!」
一護は物凄いスピードで階段を降下する。
「つーか梨央テメー知ってて言わなかったな!!?」
「あっはっは!」
「笑って誤魔化してんじゃねえよ!!」
体を反転させて大声で梨央に向かって不満をぶつける。
梨央は笑って誤魔化した。
「(クッソ…!遊ばれた…!!)」
いつものように一護をからかって遊んだ梨央の表情はさっきまでのシリアスな雰囲気とは一転して生き生きとしている。
「いっちー」
「!」
遠くにいるはずの梨央の声が鮮明に聞こえた。
「────」
「!」
一護は不思議そうな表情をする。
「(どういう意味だ?)」
“私を忘れないでね”
悲しそうな顔をしていた様にも見えた。
◇◆◇
一護を見送った梨央は其処から離れる。
「強くなったわ、目で見てわかる程に」
「フラついてた霊圧がウソみたいっス」
「強くなったんじゃない。成長したんだ。
彼は本当の死神になったんだよ」
ピピピッ
「!」
伝令神機が鳴って通話ボタンを押した。
「何の用だ浦原」
《いやァ、お礼をと思いまして。》
「キミにお礼を言われることは何もしてないよ」
《黒崎サンの件、有り難うございました。》
「それが私の役目だからな」
《貴女のおかげで黒崎サンは“戦えます”。》
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