第45章 Neglecti-気づかないふり-
「私は“その人自身に恨みはない”んだ。“滅却師の血が流れてるからその人を許せない”ってだけ。すごく身勝手でしょ?」
「………………」
「気分を害したなら謝るよ」
「いや…」
一護はどこか表情が沈んでいる。
「…“斬月”なのは変わらないんだなァ」
「え?」
「キミの刀だよ」
ニコッと笑って一護の持つ刀を指差す。
「そういう運命なんだろうな」
斬月と共に在ることが
彼の運命なのだろう
「これだけは信じてね」
「!」
「私にとってキミは大切な友達。大事な仲間。さっきはキミを赦せないと言ったが今は違う。ちゃんと“キミを赦せた”し、関わりたくないとも思っていない。キミも織姫ちゃんも雨竜くんも茶渡くんもルキアも恋次くんもみんな、私が失いたくないと思ってる人。私はキミ達の笑顔を守りたい。未来を守りたい。だから…キミを赦せなかった私を許してほしい」
強い意志のこもった瞳が一護に向けられる。
「私はキミ達を護りたい」
本心を一護に伝えた。
一護はジッと梨央を見つめている。
「そんなの許すに決まってんだろ」
「!」
「お前が俺らのことを大切に思ってくれてんのは知ってるよ。自分の命捨ててまで俺達を護ろうとするぐらいだからな。だけどよ、滅却師の血が流れてる俺を赦せない自分を許してほしいって…アホか!」
「な……」
「何で俺がお前を赦さないと思ったんだよ。許すに決まってんだろうがそんなの。つーか赦すとか許さないとか…こんなんで友達やめるとか言われる方が許さねえわ」
「!」
「お前が滅却師を許せないでいる理由はユーハバッハなんだろ?お前のお袋さんを殺した奴が滅却師の始祖だもんな。俺も…お袋を殺した虚が…ずっと許せなかった」
「………………」
「でも仲間に支えられて前を進んでる。お前も俺の大事な仲間であり大切な友達なんだよ。お前がいてくれたから俺は新たな斬月たちと共に戦える。みんなを護れる。お前のおかげだ。そんな気の良い友達を許すも許さねえもないだろ?」
ニカッと笑う一護に梨央は嬉しそうに微笑んだ。
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