第45章 Neglecti-気づかないふり-
「そのお前の成長を私はずっと傍らで見守る事ができた。これ以上の幸せがあるものか────満足だ」
「ま…待ってくれ斬月!!俺はまだ…」
消えようとする斬月を追いかける一護。
斬月はその瞳から一筋の涙を流す。
そして斬月が消えた場所には一つの刀があった。
「一護、お前が今迄遣ってきたのは私が抑え込み切れなかったお前の力の欠片に過ぎぬ。お前はもう“お前自身の力”で戦っていいのだ。持って行け、それがお前の真の斬魄刀────『斬月』だ」
その瞬間、夥しい光が辺り全体を包み込んだ。
ああ 嘘は無かった
あんたの言葉にも
あいつの言葉にも。
あんたは滅却師の“影”を使って
俺を助けてくれた
あんたは滅却師の“血”を使って
俺の血を止めてくれた
あんたは滅却師の“力”を貸して
弱かった俺を勝たせてくれた
斬月
俺はあんたが 誰だってかまわねえ
あんたは違うと言うだろうけど
あんたも あいつも
きっと どっちも
斬月なんだ
なあ それでいいだろ?
斬月─────……
ドッ
ゴアッ
突然一護が炎の中に飛び込んで熱を帯びた斬月を手で握った。
「ちょっ…何やってんですかあんた!?手が…」
「…良いんだよ、なァ黒崎?」
「!」
「思ってたところだ。丁度ここにお前の魂が一ツ込もればそれで完成だってな。さァ引き抜けよ黒崎、お前の斬魄刀だ」
一護は斬魄刀を引き抜いた。
「……………、水が消えた…!」
「こんな風になったの見たことあります…?」
「あるワケねっス!」
「熱と霊圧で海が干し上がったんだよ。刀の魂を冷ます為にな。どうだ黒崎、やっていけそうか?その────斬月"たち"と」
一護の両手に二つの刀が握られている。
斬月
もうあんたに
『力を貸してくれ』とは言わない
『俺の邪魔をするな』とも言わない
そして『一緒に戦おう』とも言わない
俺は
俺自身で戦う
ありがとう 斬月
あんたは 俺だ
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