第44章 Rex-斬月の秘密-
「!!」
後ろを振り返り、一護は手を差し伸べる。
「お前だ」
手を差し伸べた浅打が白く染まった。
「…言いぜ、上がって来いよ」
蒼生はニヤリと笑う。
「俺が直々に直してやる」
◇◆◇
「おおあッ!!!」
ドッパァン!!
滑り台の様に流れ落ち、蒼生としたりは見事に着地を決めたが、肝心の一護は頭から水に突っ込んだ。
「ブヘッげほっげーっほ」
「頭から突っ込む馬鹿がどこにいんだ」
「そいつに押されたんだよ!!」
一護はビシッとしたりを指差す。
「てへっ☆」
全く反省の色が無いしたりは舌をペロッと出して片目を瞑り、手で頭をコツンと軽く叩いた。
「だって普通に滑ったんじゃつまんないじゃないですか〜」
「つまんなくていいんだよ!!
滑るのに面白さいらねーだろ!!」
「見事な無様っぷりでしたよ!」
「そんなとこ褒められても嬉しくねえよ!!」
「スリル満点で楽しかったですね〜♪」
「楽しい要素どこにあった!?
危うく溺れ死ぬ所だったわ!!」
「水死体にならなくて良かったな」
「ホントにな!?」
「後でもう一回滑りましょうよ〜!」
「誰がやるか!!」
「もう一度、無様な姿を晒すもの悪くないかもしれませんよ〜」
「(コイツ…斬魄刀のくせに…どこか梨央に似てるところがあるな…)」
「もしかして小生のこと、妹君に似てるって思いました?」
「!」
「考えてることを表情に出したらダメですよお」
「(今の言葉も…アイツに言われたことがある…)」
「蒼生様にバレちゃうと殺されるので秘密ですよ?」
少し離れている蒼生に気付かれないように、したりは一護の耳に手を当てて小声で話す。
「実は…“楯鞍したり”という斬魄刀は…蒼生様が梨央様を思って創り出したものなんです」
「!!」
一護は驚いたようにしたりを見る。
「特に性格的な部分は似せて創られてますよ☆」
「…そうなのか」
「見てみろ、黒崎」
「!」
少し離れた場所で蒼生が一護を呼ぶ。
振り向いた一護はその光景に目を見開いた。
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