第43章 Around-宮殿巡り-
「自分の斬魄刀を理解しないクズ野郎共だから見分けもつけられなくなるんだろ?」
「!!」
「てめえいつの間に…!!」
ガシャン!!
お互いの刃をぶつけて粉々に破壊する。
バラバラに砕け散る斬魄刀の姿に二人は目を見開いて唖然とした。
「悪ィな、わざとじゃねえんだ。だが二つをぶつけ合わせただけで簡単に壊れるようじゃこの先直してもまた壊れて使いものにならなくなるな」
蒼生の冷たい双眼が二人に突き刺さる。
「お前らの周りに斬魄刀の怒りが満ちてんぞ」
ザワッ…
「「!」」
「…そこから生きて出て来られたら斬魄刀を打ち直してやるよ」
「な……」
「簡単にくたばる雑魚に握らす刀は無え」
「てめぇ…」
「残念だったな。
俺は御影や鬼灯のように甘くねえぞ」
その声は冷たくて鋭かった。
ザワザワ…ッ
「…何かいやがる…大量に…」
「…あァ、何だこいつら…?」
「何も怖がることねえよ。そいつらのことはお前らよーく知ってるハズ。そいつらは何にでもなれる“最強の斬魄刀”───『浅打』だ」
『浅打』
六千名を超える護廷十三隊隊士全名が
院生時代に一時貸与され
入隊と同時に正式に授与される無名の斬魄刀
全ての死神達はこの“浅打”と寝食を共にし
練磨を重ねる事で己の魂の精髄を
“浅打”へと写し取り
“己の斬魄刀”を創り上げる
「その“浅打”の全てを1人で作り出してるのが俺だ」
「そうかよッ!じゃあコイツらはその浅打の具現化ってことか!で、何で俺らがコイツらに襲われなきゃいけねえんだよ!!」
「おしいな。“具現化”とはちょっと違うが今はいい。重要なのはそこじゃなくてそいつらがお前らに怒ってるってこと」
「怒ってる!?何をだよ!?」
「お前らの斬魄刀の“遣い方”だ」
「使い方…!?」
「解らねえか?お前らは今まで自分の斬魄刀とどう付き合ってきた?部下として接してきたか?相棒として頼ってきたか?家族として?先輩、後輩、ペット、知人、恋人、愛人。ふざけんな!!!」
蒼生は斬魄刀の代わりに怒りで声を張り上げる。
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