第43章 Around-宮殿巡り-
「「えッ!?」」
「帰るなら大歓迎だけどな。
面倒な手間かけなくて済む」
「マジか…そんな選択肢あんのかよ…どうする…帰らされたら困るぞ…」
「イヤ、いくら高峰でも本気で帰らしゃしねえだろ…」
「わかんねーぞ…アイツの不機嫌そうな顔見ろよ。いくら機嫌が悪いからって普通声まで冷たくするか?めちゃくちゃ本気だぜ。しかもだ…一番重要なのはアイツが梨央と同じ血を引いてるってことだ」
「?それが何だよ?」
「馬鹿!アイツは俺達をからかって遊ぶのが好きなヤツだぞ。俺達の反応を面白がって愉快に笑ってる性格がひん曲がったヤツだ。もしかしたらアイツもそうかもしれねえだろうが!」
「…梨央がいたら殴られてたぞお前」
「どうやら梨央の短気な性格も兄貴譲りみたいだし…ここで変に機嫌を損ねさせて本気で帰されても困る。なんたって梨央の血を分けた兄貴だからな…!」
「どんだけ梨央にビビってんだ…」
「俺で遊ばれるのは嫌なんだよ!」
「ああ…あいつお前で遊ぶの好きだもんな」
「だからアイツにまで遊ばれると梨央にからかわれてるみたいで辛い…」
「苦労してんだな…」
恋次は肩を落として落ち込む一護に同情した。
「よし…」
「帰りません!!」
「よろしくお願いします!!」
ガバッと頭を下げる。
「そういうの暑苦しいからやめろよ。俺、御影みたいなテンションで来られるのマジで嫌なんだよ。しかもスゲェ面倒くせえ…。まぁいいや…やるならとっととやろうぜ」
ガチャ…
「入れよ」
蒼生は部屋の扉を開ける。
二人は部屋の中に一歩、足を踏み入れるが…
「「うおおおおおおおおお!!!」」
勢いよく落下してしまった。
「痛って…」
「おい!何だよこりゃ!?」
「なあ、気付いてるか?お前らここへ来るまで俺以外1人の死神にも会っちゃいねえ」
「!?」
「さっきの楯鞍したりは“斬魄刀”だ」
「斬魄刀!?」
「おかしいな。お前ら死神なのに死神と斬魄刀の見分けもつかねえなんてどうかしてる」
蒼生はいつの間にか奪った二人の斬魄刀を両手で持ち上げ、頭上で交差させる。
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