第43章 Around-宮殿巡り-
「…誰もいねえな?」
「みてえだな」
「ぅオイ!!当たり前のようにオレをクッションにした事については一言もナシなのかよ!?」
「ウルセーぞ。
勝手について来るクセに文句言うな」
「勝手にってなんだよ!!オレはさっきの宮(パラダイス)に置いてってくれていいって言ったのにそれこそムリヤリ引っ張って来たのはテメーじゃね…」
カッ
突如点灯した光によってコンの言葉は遮られた。
「!!」
「何だ!?」
《来落者二名!!そこへなおれ!!》
「うるせえっ!!」
「何だよこの音!?」
《頭が高い頭が高い!!此処を何処だと心得ている!!この『黎明殿』は高峰蒼生様の城だぞ!!土足で入って来やがって礼儀知らず共め!!海に放り込んで三途の川渡らしたろか愚か者共!!》
ババーン!!
「「……………」」
スポットライトと共に現れたのは金髪の美女だ。
彼女の登場の仕方に二人は何とも言えない表情をしている。
「なーんて冗談でっす☆ごめんちゃい☆」
後頭部に手を当て舌をペロッと出してウインクする金髪の美女は茶目っ気たっぷりで笑う。
「小生の名は楯鞍したりと申しマス☆お客人の名前は黒崎一護と阿散井恋次、それと謎のぬいぐるみですネ!よろしくチェケラ☆」
ふざけたテンションでピースの形を作り、それを目に当てた。
「いつまでふざけてんだ」
ゲシッ
「うおあッ!?」
したりの背中を足蹴りしたのは蒼生だった。
「痛いじゃないですかー。女の子を蹴るなんて酷いな旦那はー。危うく頭打って死ぬトコでしたよ〜」
「死ねばよかったのに」
「ひどっ!!」
「…高峰…蒼生…」
「あ?」
名前を呼ばれて不機嫌そうに一護を睨み付ける。
一護は驚いた様子で高い所にいる蒼生を見上げていた。
「(あいつが…梨央の双子の兄貴…)」
「ほら蒼生様、そんな無愛想だとお客人に失礼ですよ」
「元からこういう顔だ」
「あらら…」
「言っておくが…」
蒼生は冷たい双眼を二人に向ける。
「俺は礼儀もなってねえ非常識野郎共にタダで教える程お人好しじゃねえ」
「「!」」
「帰るか?」
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