第43章 Around-宮殿巡り-
「デザートも用意してるからね♪」
霙は厨房の奥に消えた。
厨房ではコック帽を被ったロボット達が忙しなく働いている。
「どんどん作ってね〜」
一斉にビシッと敬礼をした。
「うんうん♪」
すると霙の死覇装がもぞもぞと動く。
「リキュール」
ぴょこん、とリキュールは顔を出す。
「膝の上においで〜」
抱き上げて膝の上にリキュールを乗せる。
「甘い匂い…」
睡魔が襲い、霙は目を閉じた。
『誕生日おめでとう!』
『わああ!』
『霙の好きなケーキよ』
『ありがとう!お父さん!お母さん!』
『お父さんが選んだんだ。
気に入ってくれるといいんだが…』
『たっぷりのホイップと真っ赤な苺!
美味しそうだよお父さん!』
『そうか!喜んでくれるか!』
『チキンも美味しそ〜♪』
『お母さんが焼いたのよ』
『早く取り分けて食べよう!』
『ほら、食べる前になんて言うの?』
『いただきまーす!』
『本当に美味しそうに食べるなー』
『お父さんにもあげる!』
『あ…ありがとう』
『あらあらお父さん、泣かないで』
『な、泣いてないぞ!
これは…汗だ!』
『もう…嘘ばかり…』
『霙、プレゼントも用意してあるからな。
寝る前に渡すから楽しみにしててくれ』
『うん!』
『霙』
『なぁに?』
『─────』
ピピピッ
「!」
キッチンタイマーの音で目が覚める。
「…寝てた」
ごしごしと目を擦って立ち上がる。
「(…懐かしい夢を見た気がする。)」
気を取り直して霙はロボット達に聞こえるように叫んだ。
「皆の者!!
最後のメインディッシュは完成したかねー?」
ビシッ
「おお!美味しそうなケーキ!
たっぷりのホイップと真っ赤な苺が添えてあって綺麗だね〜」
完成したケーキを二人が待つ部屋に運ぶ。
そして食事を終えると二人はまた、打ち上げられた。
「次は蒼ちゃんのところか…気を付けてね…蒼ちゃんの試練はちょっと厳しいから…どうか挫けないで」
霙は空を見上げ、悲しそうに言った。
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