第43章 Around-宮殿巡り-
「この白骨地獄で血を抜いて血の池地獄で補給する。それを何度も繰り返して最終的には体内の腐れた血と霊圧を一滴残さずうちの湯と入れ換える。それがオレの治し方っス」
「そんなやり方でホントに…」
「一護クンは…浦原喜助の弟子か何か?」
「でっ…誰がだ!」
「あの人と四楓院夜一の“遊び場”に妙な温泉がなかったっスか?」
そう聞かれ、一護はそんなような温泉があることを思い出す。
「あれは浦原喜助がオレの湯殿を分析して何とか近付けようと作ったモノっス。黙って浸かってよ。一護クンぐらいの傷なら一晩もあれば元の倍ほど元気にしてあげるっス!」
琉生は歯を見せて笑った。
その後─────……
「きゅうじゅういーち、きゅうじゅうにー、きゅうじゅうさーん、きゅうじゅ…」
「ぶぁああああっ!!!」
湯の中に潜っていた一護は息が続かなくなり、湯から頭を出す。
「不合格っス!何で我慢できねえんスか!」
仁王立ちして琉生は一護を見下ろす。
「子供の頃よく言われたじゃないスか!風呂に入ったらしっかり浸かって100数えろって!!罰として妹さん達の趣味から教え…」
「誰が教えるか!!しつけえんだよ!!つうか俺を殺す気か!!どこの世界に頭のテッペンまで浸かって100数えさせる親がいんだよ!?」
「100なんて余裕じゃん。
梨央チャンは軽く300は超えるっス」
「さんびゃく…。
いや、あいつは別格だろ」
「ふーん…人間てモヤシなんスね」
「誰がモヤシだ」
一護のツッコミに琉生は可笑しそうに笑う。
「ところで一護クン」
「何だよ」
「ご家族とは仲が良いんスね」
「は?」
唐突に家族の話題が振られ、一護は呆気に取られる。
「みんなが信頼を寄せるなんて一護クンは恵まれてるんスね。友達にも…そして家族にも愛されてる」
「………………」
「大事にしたほうがいいよ」
どこか寂しそうに琉生は笑う。
「オマエ家族は?」
「…母親がいるっス。でも縁を切った」
「!」
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