第43章 Around-宮殿巡り-

こうして一護は無理やり引きずられる形で碌迦殿へと招かれた。



「何してんスか一護クン！
早く温泉に入るっスよ！」



琉生は一護の腕を引っ張って温泉に浸からせようとする。



「ちょっと待て!!何のんびり温泉なんかに浸からせてんだよ!?ここに何しに来たんだ俺は!?」



「何って…妹さん達の話をオレに聞かせてくれる為に温泉に来てくれたんじゃないんスか？」



「そんなわけあるか!!どんだけ妹達の話に食いついてんだ!!頼まれたって絶対に教えねーからな!!」



「えー」



「オマエみたいな軽そうな奴に誰が…」



「わかった！僻んでるんスね？」



「…何でそうなる」



「オレが美形だからって僻まないでほしいっス」



「(こいつ殴っていいか…？)」



「駄目っスよ独り占めは！一護クンの妹さん達は誰のものでもないんスから！」



「俺の妹だよ!!」



思わず怒りのツッコミ。



「安心してよ。流石に梨央チャンの友達の妹に手を出すほど下衆野郎じゃないっス」



「当たり前だ下衆野郎!!柚子と夏鈴に手なんか出しやがったらぶん殴るぞ!!」



「下衆野郎とは何スか!!」



「知るか!!自分で言ったんだろうが!!」



「だって可愛いじゃないスか女の子!!」



「(マジで下衆野郎だな…)」



冷めた眼で琉生を見る。



二人は温泉に入り、頭にタオルを乗せる。



相変わらず獅子落としの音が響いていた。



「今一護クンは湯に浸け込んで痛み切った霊圧と血を一緒に絞り出してるんスよ」



「痛み切った霊圧を…？」



「向こうにある赤い温泉が見えるっスか？」



「！」



遠くに見える温泉は白い湯気が立ち昇り、赤い湯が張られている。



誰の目から見てもその赤い色は不気味だった。



「…温泉だけじゃなくて血の池地獄って書いてあるように見えるけど…」



「さすが一護クン！鋭いっスね！」



「いや誰が見てもわかんだろ」



「ホントは女の子が好きそうな色にしたかったんスけど隊長に猛反対されて仕方なく断念したっス…。あー混浴…女の子と入れる絶好の機会だったのに…夢が消えたっス」



「そんな夢消えて正解だな」


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