第43章 Around-宮殿巡り-
「つーか重いなお前」
「蒼生はデリカシーない!」
「前に抱き上げた時より更に重い」
「さっきまでご飯食べてた!」
「何食ったんだ?」
「んとね…お子様ランチとコロッケとアイスとシュークリームとパフェ!」
「なんだその偏ったメニューは…。どんだけ食ったんだ。お前の胃袋はブラックホールか」
「子供は食べ盛りだからね!」
“えっへん!”と胸を張る丙。蒼生は“食べ盛りにも程があんだろ”と再び呆れてしまう。
「はぁ……」
「どーしたの?」
まだ治らない頭痛の辛さから無意識に息を漏らす。それに気付いた丙は心配そうに顔を覗き込んだ。
「…何でもねぇよ」
「もしかして抱っこするの大変…?」
「お前のせいじゃねえから気にすんな」
「でも蒼生、顔が真っ青だよ?」
「!」
「大丈夫…?」
丙の言う通り、蒼生の顔色は更に悪かった。ズキズキと痛む頭にモヤモヤする胸。それを振り払って、蒼生は丙に言う。
「お前は弟を大事にしろよ」
「?うん」
丙は意味も分からず、首を傾げて頷いた。
「あいつらと合流するぞ」
「ラジャー!」
元気よく返事をした丙を連れて、蒼生は梨央との待ち合わせ場所へと向かった。
◇◆◇
「ひのえー!」
「みずのえー!」
二人の元から離れ、駆け出す丙と壬はお互いの再会を喜び合い、今度こそ離れないように手を繋いだ。
「やぁ…お互いに顔色が悪いね」
「お前よりはマシだろ」
「いやいや、キミとそんなに変わらないよ」
軽く否定して笑う。
「…あの、さ…」
「何だ?」
「どこまで…見た?」
緊張しているのか、顔が強張っている。蒼生はじっと梨央を見つめた後、顔を双子に向けたまま、答えた。
「母さん達が殺されるところ」
「…それだけ?」
「あァ。何だよ、お前は他に何か見たのか?」
「んーん。私も同じ記憶を見たよ。幸せだった頃の…思い出をね」
「そうか…」
二人は互いに黙ってしまう。
「この洞窟が立ち入り禁止な理由が分かる」
「まぁ…精神的なダメージは食らうわな」
「嫌な場所…」
「同感だ」
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