第43章 Around-宮殿巡り-

同じくして“思い出”を見せられた蒼生も、表情は変わらないが、どこか気分が悪そうだった。



「……………」



その時、伝令神機が震える。



「あっちは無事に見つかったか…」



壬を保護したと梨央から報せが入った。



「あー…くそ、頭いてぇ…」



顔をしかめ、頭に手を遣る。



「(胸くそ悪ィもん見せやがって…)」



「あーおーいー！」



「！」



「どぉーん！」



ゴスッ



振り向く前に誰かが勢いよく腰に抱き着いた。



「ンの…危ねえだろうが！」



「あるじはー？」



赤い髪の子供が愛らしい目で見上げる。



「まず先に“わざとぶつかってごめんなさい”だろうが」



「ごめんちゃい」



「……………」



なんとも軽い謝罪だろうか。怒る気力を無くした蒼生は溜息を吐いた。



「ったく…こんな場所に逃げこみやがって」



地面に片膝を付け、丙と同じ目線で言う。



「怪我は？」



「たくさん走って疲れた！抱っこして！」



「疲れてる割には元気だな」



「まあね！」



「声がでけえよ…」



そう言いつつも、丙を抱き上げる。すると丙は嬉しそうな顔を見せた。



「壬は？見つかった…？」



「心配すんな。梨央が保護してる」



「さすが迷子探しのプロだね！」



「褒められても全然嬉しくねえわ」



「何でそんなに見つけるの上手なの？」



「“かくれんぼ”みたいなもんだろ」



「かくれんぼ？」



「昔から見つけるのが上手いんだよ、俺は。普段から悪戯が過ぎるお前らを探すのも得意なんだぞ」



「そっか！だから蒼生に悪戯した後に逃げても、蒼生はすぐに僕達を見つけちゃうんだね！」



「感心してんじゃねえよ」



「主もね！僕らを見つけるの上手なんだよ！絶対に見つからないって思う場所に隠れてるのにすぐ見つけちゃうの！」



「(そりゃお前らの霊圧探ってるからだろうな。)」



「今度はもっと上手に隠れよ！」



「あんま耳元で騒ぐな。そんなに元気なら降ろすぞ。んで自分の足で歩け」



元気にはしゃいでいた丙がピタリと静かになる。“現金なやつめ…”と蒼生は呆れ返った。


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