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✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第42章 Tandem-最期の言葉-




『私に幸せをくれてありがとう。お前達は私の宝物だ。天使のように愛らしい。梨央、蒼生…お前達を永遠に愛してるよ──。』



幸せそうな笑みを浮かべて二人の身体を抱き寄せて、ギュゥっと抱きしめた。梨央は泣いた。蒼生も泣いた。それでも二人はもう、罪禍を引き止めなかった…。



『別れの挨拶は済んだか』



立ち上がった三人は最後に微笑み、ユーハバッハの元へと歩き始める。



『あ……』



離れて行く罪禍の背中に向けて伸ばした手は、そっと蒼生に掴まれる。



『っ………』



悲しげに蒼生を見れば、無言で此方を見つめ、同じような顔を浮かべていた。



ぐっと涙を堪え、口をキュッと結んで顔を俯かせた。



『お前に一つ忠告しておいてやる』



罪禍は無表情でユーハバッハを見る。



『私達はお前を止める事は出来なかったが、遠い未来で必ず、あの子達がお前を止める』



『!』



『あの子達の誰かがお前の目的を阻止し、世界を守ってくれるだろう。……子供だと思って侮っていると後悔するぞ…───』



鋭い眼光で睨みつける。



『……………』



そして目を閉じたユーハバッハは静かに呟いた。



『──……大聖弓(ザンクト・ボーゲン)』



三本の矢が放たれ、速度を落とす事なく、真っ直ぐに伸び、三人の身体を貫いた。真っ赤な鮮血が派手に宙を舞い、三人の身体は鈍い音を立ててドサリと倒れ込む。



血溜まりが地面に広がり、ピクリとも動かなくなった母親を涙を流しながら怯えた顔で見つめる梨央達。初めて死というものを身近で経験し、それが最悪の形となって記憶される。



『ハァー…ハァー…ッ』



息苦しさを感じる梨央は喉元に手を当てる。上手く呼吸が出来ず、頭の中も混乱し、何もかも壊れそうだった。



『ハァ…ハァ…ッ』



ぐしゃぐしゃの泣き顔で母親の亡骸を見つめる梨央。蒼生も蓮杜も千歳もカタカタと小刻みに身体を震わせている。



『(息が苦しい…喉が痛い…)』



収まるどころか、荒く乱れる呼吸。短い息を繰り返しながらユーハバッハを見ると…



『……………』



三人の亡骸に歩み寄り、弓で射ただけでは済まさず、大剣で二度目の留めを刺そうとしていた。



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