第42章 Tandem-最期の言葉-
『っ子供を人質に使うなんて卑怯よ!!』
『あの子達は関係ありませんわ!!』
『…ここまでするのか』
『言ったはずだ。この里を落とせぬのなら貴様達を屈服させる“餌”を使えばいいと』
『なんて奴なの…!!』
自分の子供を人質にされたことに三人は取り乱す。ユーハバッハはふと笑った。
『流石は母親という生き物だ。我が子を人質に捕られたと解った瞬間、戦士から母親の顔に戻った。霊圧も激しく揺らついている』
『お前…ッ!』
『──今ので集中力を切らしたな』
『!』
“まずい!!”
『子供達を守れ!!』
『『!!』』
焦った声で二人に向かって叫んだ瞬間、罪禍の横を複数の矢が勢いよく通り過ぎた。その先にいるのは子供達だった。
梨央達はギュッと目を瞑る。だがいくら経っても痛みは無く、不思議になってそっと目を開く…。
『…っとに…最低ですわね貴方!!私、怒りに震えていますわよ!!』
間一髪のところで円香が防御壁を展開させ、攻撃から子供達を守った。
『母様!!』
千歳の顔に安堵するような笑みが浮かぶ。
罪禍もホッと肩を撫で下ろす。その瞬間、集中力が切れ、コントロール出来なくなったせいで、身体の自由が解かれたユーハバッハの大剣が罪禍の後ろ首に向かって振りかざされる。
『!!』
ヒュンッ
咄嗟にその場から躱すと風を切るような音が聞こえた。隙を与えず、罪禍も剣を振るが、ユーハバッハはそれを回避し、蓮杜の元へと走る。
『っ!!(殺される──!!)』
ガキィン!!
『!!』
蓮杜へ迫るユーハバッハの前に千咲が割り込み、己の剣で受け止めた。
『うちの子に何すんのよ…!!』
『チッ……』
そして思いきり弾き飛ばす。ユーハバッハが剣を握った手を見るとじんじんと痛みがあった。
『伏見家の攻撃力は重いでしょう?』
『ババア!』
そう呼ばれた途端、ぐわっと表情を変え、蓮杜にズンズンと歩み寄るとその頭に拳骨を落とす。
ゴチン!
『Σ痛え!!』
『ババアって言うなって何度言えばわかんの!!』
『ヒ…ッ!?』
『お母様とお呼び!!』
『呼べるかあ!!』
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